福岡天神内視鏡クリニックブログ

自宅で始める腸活 〜市販の整腸剤比較2020年版 

あけましておめでとうございます。医師の秋山です。

今年もよろしくお願い致します。

 

令和2年の初ブログは「整腸剤比較2020年版」です。

私は当初、整腸剤ブログについてはザ・ガード以降更新の必要はないと思っていました。

市販の整腸剤はビオフェルミンやミヤリサン など、昔から優れたものがあるからです。

ところが2019年4月に、武田薬品が「ビオスリー Hi」という整腸剤を宣伝し始めました。

既存のミヤリサン やビオフェルミンらと比較して、結局どの整腸剤を飲んだらいいのかをまとめてみました。

1〜5の整腸剤はこれまでブログで書いてきたものですが、新しい知見と私のイメージが変わったものもあるのでそれぞれ修正・加筆しています。

 

1.新ビオフェルミンS 90錠 1日量9錠 ¥851 1日当たり85.1円

新ビオフェルミンSは言わずと知れた、整腸剤の代表格。どのドラッグストア・薬局にも置いてある整腸剤です。

近所のスーパーやコンビニにもあり、一番入手しやすいのが最大のメリットです。

ほぼ無味無臭で粒も大きくないので、ポリポリと噛み砕いて飲むこともできます。

1日1回3錠であれば、1日28円と経済的な負担もあまりありません。

ビオフェルミンSは、ビフィズス菌+フェーカリス菌+アシドフィルス菌という3種類の乳酸菌が含まれています。

ビフィズス菌や乳酸菌は、腸内で発酵して酢酸や乳酸を産生します。

腸内が酢酸や乳酸で酸性になると、善玉菌が活動しやすい状態になり腸内環境が整ってきます。

 

2.強ミヤリサン錠 90錠 1日量9錠 ¥698 1日当たり69.8円

強ミヤリサン 錠は、ビオフェルミンSに比較するとマイナーな整腸剤です。

コンビニやスーパーでは見かけませんし、ドラッグストアでもないことがあり、入手しにくいのが難点です。

ただ現代はネットで手に入るので、自分に合うようであればまとめ買いをすると良いと思います。

ほぼ無味無臭です。ビオフェルミンSと比較すると若干粒が大きくなっており、そのまま噛むには少し無理があるかなと思います。

主成分である酪酸菌(宮入菌)は、優れた整腸作用を有しており、私たち消化器科の医師たちがピロリ菌除菌時をはじめ、便秘・下痢の改善に多く使用している整腸剤です。

酪酸菌は発酵して「酪酸」を産生します。

「酪酸」は今非常に注目されている「短鎖脂肪酸」の1つで、それ自体が直接腸のエネルギーになることが最大のメリットです。

ビオフェルミンSと同様に、1日1回3錠の内服(23円)でよいと思います。

酪酸菌はぬか漬けに入っていますが、現在は食事から摂取するのはなかなか難しいかもしれません。酪酸菌を摂取したい場合は、整腸剤からの摂取が簡便です。

 

3.ザ・ガード整腸錠α+ 150錠 ¥1057  1日3回9錠 1日当たり63.42円

小粒で内服しやすく、特に納豆の味はしませんがさして食べやすいわけでもないので、水で飲むと良いでしょう。

最近はドラッグストアで見かけることが多くなり、ミヤリサン よりも見かけます。

1日1回で内服すると20円ちょっとです。

成分は、ビフィズス菌+乳酸菌(ラクトミン)+納豆菌です。

ビオスリーHi から酪酸菌を抜いて、ビフィズス菌と納豆菌を足したもの。もしくはビオフェルミンに納豆菌を足したものとも言えます。

他の整腸剤との違いは、やはり納豆菌でしょう。

納豆菌は、腸内の活性酸素を除去することで乳酸菌やビフィズス菌が住みやすい環境を作ります。

また消化を助ける働きもあります。

乳酸菌やビフィズス菌の作用を強めるという点では、ビオフェルミンと似た効果です。

そのほかに、ザ・ガードには「ジメチルポリシロキサン」というお腹のガスを減らしてくれる成分が入っています。

腹部膨満感は、最近では「小腸内に異常に発生するガス」が原因ではないかと言われています。

小腸内のガスを減らすためには、普段の食事の見直しが必要です。

「ジメチルポリシロキサン」は腹部膨満感に効きますが、残念ながら飲み続けていても根本的な治療にはなりません。

ザ・ガードはどちらかというと、お腹の調子が悪い時に頓服的に使用すると良い整腸剤だと思います。

 

4.エビオス錠 600錠 1日量30錠 ¥700 1日当たり35円

エビオスは「ビール酵母」でできています。

1日1回で内服するなら12円と、とても経済的です。

粒は小さいですが、1回10錠と内服量が多い点がデメリットでしょうか。

風味は淡いビール味です。10錠を水で飲むのもなかなか大変です。

ビール酵母には、さまざまな栄養素が含まれています。

必須アミノ酸を含めた、アミノ酸・タンパク質がバランスよく補うことができ、さらにビタミンB群・ミネラル・食物繊維まで含まれてます。

エビオスはビール酵母のみなので、善玉菌は含まれていません。

酵母には酵母自体と食物繊維により、乳酸菌などの善玉菌を増やす作用があるので、間接的に腸内環境を良くする効果があります。

上記1〜3や6のような善玉菌が入っている整腸剤と併用すると、善玉菌のエサとして機能するのでより腸内フローラが整いやすいと言えそうです。

 

5.わかもと 1000錠 1日量27錠 ¥1814 1日当たり49.0円

1日の内服量27錠、粒の大きさは、エビオスとほとんど同じです。

同じビール酵母からできています

ビタミンB群・ミネラル、アミノ酸・食物繊維が、エビオス同様含まれていますが、わかもとにはアスペルギルス・オリゼーNK菌と乳酸菌が含まれている点が異なります。

アスペルギルス・オリゼーNK菌からアミラーゼやプロテアーゼといった消化酵素が生み出されて、胃腸の調子を改善するようです。

エビオスとわかもとは、ビール酵母を主成分としているのでほとんど同様の効果が得られます。

どちらも酵母自体と食物繊維で善玉菌を増やす働きを持っているので、1〜3、6の整腸剤と併用すると良いようです。

 

6.ビオスリーHi 270錠 1日量6錠 ¥2780 1日当たり61.8円

ビオスリーHiには3種類の善玉菌が入っています。

糖化菌+乳酸菌+酪酸菌 です。

3つの菌が入っているので「ビオスリー」です。

ビオフェルミンとザ・ガードも3種類ですが、3種類の働き方が違います。

糖化菌・・・乳酸菌やビフィズス菌を増やす。

乳酸菌・・・酪酸菌を増やす

酪酸菌・・・酪酸を生成して大腸のエネルギー源となる

ビオスリーの特徴は、酪酸菌を強化して大腸のエネルギーになることです。

乳酸菌と糖化菌は、酪酸菌を増やすアシストの役割をしています。

つまり、ミヤリサン とビオスリーは酪酸菌で大腸のエネルギーを得るという意味では同種の整腸剤であると言えます。

酪酸菌の量を「整腸剤のみで増やす」ことを考えると、一見ビオスリーの方が効果がありそうに思えます。

ただ酪酸菌を増やすのに一番の大切なのは「食物繊維」ですから、ミヤリサン かビオスリー+食物繊維の摂取が良いということになります。

食事での摂取が難しい場合、「善玉菌」+「ビール酵母の食物繊維」という組み合わせで腸活することは理にかなっていると思いますのでオススメです。

 

整腸剤の比較

価格(円) 入手 飲みやすさ 主成分 働き その他
ビオフェルミン 28 乳酸菌 腸内を酸性にする
ミヤリサン 23 ○〜△ 酪酸菌 大腸のエネルギー
ザ・ガード 21 乳酸菌 腸内を酸性にする 腹満を改善、納豆菌
ビオスリー 21 酪酸菌 大腸のエネルギー
エビオス 12 酵母 善玉菌を増やす 栄養素が豊富
わかもと 18 △〜× 酵母 善玉菌を増やす 栄養素が豊富

 

まとめ

1.  ミヤリサン とビオスリーは、酪酸を産生して直接大腸のエネルギーになる(腸の動きに直接関わる)。

2.  その他の整腸剤は、間接的に腸内環境(フローラ)を整えている

3.  善玉菌と、食物繊維を含んているビール酵母は併用した方が腸内環境が整いやすいと思われる。

4.どの種類が良いかは3種間ほど試してみる。自分にあった整腸剤が見つかったら、1日1回のペースで継続していくよう習慣にしてみる。

 

外来では今も、「整腸剤は胃腸が悪い時だけ飲むもの」と思っている方が多くいらっしゃいます。

整腸剤はほぼ食べ物と同じなので、副作用はほとんどありません。

手軽な腸活(プロバイオティクス)として、「整腸剤」をメインに使って続けていただけたらと私は思っています。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。