福岡天神内視鏡クリニックブログ

機能性ディスペプシア シリーズ② 症状緩和するために

おはようございます。
前回、機能性ディスペプシア(以下FD)には、胃の膨らみが悪い(胃の運動機能障害)、胃酸への感受性が強い(胃の知覚過敏状態)、ストレスが多いことが関係していることをお話ししました。今回はFDの症状を緩和する方法などに関してお話しします。

① 胃の運動機能障害に対する対応
摂取した食事が胃から排泄されるまでの時間(胃内滞留時間)が長くなると、胃もたれ症状が悪化するため、消化に時間がかかる食事の摂取を避けましょう。
胃内滞留時間はタンパク質、炭水化物、脂肪の順に長くなります。脂肪分の多い天ぷらやビーフステーキなどは胃の滞留時間が長いため、胃もたれや吐き気を起こしやすくなります。
また、症状に応じて消化管運動機能改善薬を投与します。

② 胃の知覚過敏状態に対する対応
酸分泌抑制薬を投与しますが、胃酸への感受性が高まっていることが原因であり、胃酸の量が少なくても痛みが出やすいためそれほど効果は期待できません
症状を悪化させるイメージがあるかもしれませんが、唐辛子に含まれるカプサイシンには痛み刺激を感じる受容体であるTRPV1の反応を鈍らせる脱感作作用があるため毎食時に唐辛子をひと振り摂取すると胃痛などの不快な症状を感じにくくなる効果があります。唐辛子が苦手な場合はカプサイシンのサプリメントも有効です。

③ ストレスに対する対応
FDは、胃の運動が悪くても、胃の知覚過敏でも起こりますが、ストレスはこの両方に悪影響を及ぼします。また、胃もたれや胃痛などが起こると、その症状自体もストレスになるため、さらに症状が悪化するという悪循環に陥ります。休日はゆっくり休んだり、好きなことをして楽しむなど、ストレス解消に努めることが大切です。

④ 腹筋を緩めてお腹をあたためる
FDに伴う胃の痛みがあるときは、腹筋を緩めてリラックスした状態で30分程度お腹を温めるのが効果的です。横たわった状態でクッションなどを支えにして膝を曲げ、お腹の緊張を取り、お腹にブランケットを掛けたり、湯たんぽを当てたりして温めます。膝を曲げることで腹筋が緩み、緊張がとけ血流が良くなったところに、暖め効果で更に血流がアップすると、痛み物質が血液とともに流れ、滞らないため、痛みが軽快しやすくなります。また、胃への血流が増えることで、胃を保護する粘液が増加する効果も期待できます。

FDの症状で悩んでいるときは是非、これらも試してください。
前回もお話ししましたが、FDでみられる症状は進行胃癌や逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症でも認めます。このため、これらの症状がある場合は、まず胃カメラ検査が必要です。一度お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。