福岡天神内視鏡クリニックブログ

女性と便秘

おはようございます。

当クリニックでは便秘外来を行っていますが、受診される患者さんのほとんどが女性です。実際、日本人女性は、半数以上が便秘で悩んでいると言われています。女性が男性よりも便秘になりやすい理由は、いくつかあります。

①大腸は女性の方が長い!?
2013年に日本消化器内視鏡学会雑誌に発表されたデータによれば、50歳以上の日本人の大腸の平均の長さは154.7cmと報告されています。男性の平均は154.3cm、女性の平均は155.2cmと報告されており、実は身体の大きな男性よりも小さな女性の方が大腸は長くなっています。
しかし、体格自体は女性の方が小さいため、当然、腹腔内という大腸を収納するスペースも女性の方が小さくなります。小さな空間に長いものを収納するためには、細かく折りたたんで収納しなければならず、女性の方が大腸の折れ曲りが多くなり、便が通過しにくくなります。実際、内視鏡検査も、女性は挿入の難しい方が多いです。
これに加えて、女性は男性よりも腹筋が弱いため、排便時に便を送り出す力が弱いというのも影響しています。

②女性ホルモンの影響
女性ホルモンの1つである黄体ホルモンには、体内に水分や塩分をためる作用があるため、大腸から便の水分を吸収し、便を硬くします。また、黄体ホルモンは妊娠継続ホルモンでもあるため、流産しないように子宮筋の収縮を抑制する働きも持ちますが、大腸の運動も抑制する作用もあります。この作用により、特に黄体ホルモンが多く分泌される月経前や妊娠初期は便秘になりやすくなります。
一方、月経が始まると下痢になりやすいのは、不要になった子宮内膜を排出するために子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質の影響です。プロスタグランジンは腸の動きを促進する作用があり、腸が動きすぎて下痢になります。

③ダイエットの影響
体重を落とすことを重視するあまり食事量を減らすと、相対的に食物繊維や水分、脂肪分も減るため、大腸の運動にも影響がおよび便も硬くなるため便秘になります。

いかがでしょうか?
このような原因のため、もともと女性は便秘に悩みやすい身体の作りになっています。また、女性は大腸癌が非常に多く(女性の癌の一位は大腸癌です)、癌が便秘の原因となっていることもあります。
便秘が悪化した際に「昔から便秘体質だから」と思っていると、実は大腸癌が出来ていて・・・ということもあります。これまでに一度も大腸カメラを受けたことが無く、便秘で悩まれている方は、一度ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。