福岡天神内視鏡クリニックブログ

食道裂孔ヘルニアをご存知ですか?

おはようございます。
これまでに胃カメラを受けた後に食道裂孔ヘルニアがありますねって言われたご経験ありませんか?
ヘルニアとは、臓器が体内の本来あるべき位置から脱出してしまった状態のことを表す医学用語です。有名なものとしては、臍ヘルニア〈でべそ〉、鼠径ヘルニア〈脱腸)、椎間板ヘルニアがあります。

では、食道裂孔ヘルニアとはどんなものなのでしょうか?
私達の内臓は、「肺や心臓などが入っている部分(胸腔)」と「胃や腸、肝臓などが入っている部分(腹腔)」にわけて収納されています。この胸腔と腹腔は横隔膜で仕切られていますが、横隔膜には胸腔と腹腔をまたいで存在する血管や食道が通るための穴が空いています。この食道が通る穴を「食道裂孔」といいます。
食道裂孔は、ちょうど食道と胃のつながり目である食道胃接合部に存在し、下部食道括約筋とともに食道と胃のつなぎ目を締め付け、胃酸などが食道に逆流するのを防ぐ働きもしています。
しかし、この食道裂孔部がゆるむと、本来、横隔膜より下の腹腔内に存在すべき胃の一部が横隔膜より上の胸腔内に飛び出します。これが食道裂孔ヘルニアです。

生まれつき、食道裂孔ヘルニアが存在するケースもありますが、多くは加齢や生活習慣などが原因で起こります。加齢により筋肉や結合組織が弱くなると食道裂孔部にゆるみが生じます。また、肥満やアルコール摂取により内臓脂肪が増加し、腹腔内圧が高まることでもゆるみが生じます。近年、食生活の欧米化や肥満の増加により若い方でも増加傾向です。
食道裂孔ヘルニアがあると、胃酸が食道に逆流しやすく、逆流性食道炎の症状が出やすくなります。胸やけや呑酸症状はありませんか?食道裂孔ヘルニアが原因かもしれません。
胸やけや呑酸症状は、食道がんや進行胃がんでも出ることがあるため、これらの症状があれば、まずは一度胃カメラ検査を受けることをお勧めします。胃カメラ検査で食道裂孔ヘルニアも診断可能です。

食道裂孔ヘルニアがある場合は、食後すぐに横にならない、胃酸が出やすくなる食事やアルコールの摂取を控える、定期的な運動を行い内臓脂肪を減らす、腹式呼吸を意識するなどの生活習慣の改善で逆流性食道炎の症状は改善可能です。
これらの症状で悩んでいる場合は、まずは胃カメラで原因を探しましょう。
是非一度、当クリニックに気軽にご相談ください。

癌にならない腸活 実践メルマガ講座 乳酸菌バナー 内視鏡チャンネルバナー

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。