福岡天神内視鏡クリニックブログ

ヘリコバクター・ピロリ菌は大腸がんにも関与している?

おはようございます。医師の秋山です。

 

さて、今回はヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の話です。

ピロリ菌は日本人の3人に1人が感染していると言われている細菌です。

一般的に5歳までに感染すると言われており、感染経路としては

 

①井戸水などの不衛生な水を飲んで育った。

②ピロリ菌に感染している両親からもらった。

③ピロリ菌に感染している友達から幼稚園や保育園でもらった。

と言われています。

ピロリ菌は、胃がんの最大のリスク因子と言われており、胃がんに罹患している方のほとんどがピロリ菌に感染しているんです。

さて、そんなピロリ菌ですが、大腸がんのリスク因子にもなりうるという論文がつい最近発表されてました。

Shaijia C Shah,et al ; Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology,2024 Mar 01;JCO2300703.doi:10.1200/JCO.23.00703

 

結論を簡単に説明すると、

 

・ピロリ菌陽性のグループは、ピロリ菌陰性のグループに比べ、大腸がんの発症リスクが18%高く、死亡リスクは12%高かった。

 ・ピロリ菌の除菌治療をしていなグループは、ピロリ菌の除菌治療をしているグループよりも大腸がんの発症リスクが23%高く、死亡リスクは40%高かった。

 

とのことです。

 

ピロリ菌感染により、大腸がんのリスクが高くなる原因としてはまだ不明です。

おそらく、ピロリ菌が産生している毒素が大腸粘膜を刺激しているか、あるいはピロリ菌自体が大腸にまで侵入して大腸粘膜を刺激しているかではないかと思います。

 

個人的には、ピロリ菌は胃がんだけでなく、その他の腸管(十二指腸、小腸、大腸)、および腸管とつながっている臓器(肝臓、胆管、胆嚢、膵臓)にできるがんの発生は、ピロリ菌が一部関与しているのではないかと思ってます。

それくらいピロリ菌は怖い菌なんですよね。

 

そう考えると、ピロリ菌に感染している方は必ず除菌した方が良いですね。

ピロリ菌の検査を受けたことがない方は一度受けてみましょう。

以上、ピロリ菌の話でした。

 

福岡院は5月5日までGW休みです。5月6日より診療しておりますのでよろしくお願いします。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。