福岡天神内視鏡クリニックブログ

食道癌の検査について

おはようございます。
今回は食道がんの検査についてお話ししたいと思います。
食道がんは、初期には自覚症状がほとんどありません。がんが進行するにつれ、「食事中に食べ物がのどや胸につかえる感じがある、下がっていかない感じがある」「胸や背中に圧迫されるような痛みがある」などの症状が出現します。これらの症状がある場合は、まず食道がんがあるかどうかを調べるための検査を受けましょう。

 

食道がんを調べる検査としては、食道レントゲン検査(食道透視検査)と胃内視鏡検査(胃カメラ検査)がありますが、絶対に胃内視鏡検査(胃カメラ検査)をお勧め致します。食道レントゲン検査では、特に粘膜の微細な変化しか認めない早期の食道がんはまず見つけられないと言っても過言ではありません。
一方、胃内視鏡検査(胃カメラ検査)は粘膜の微細な変化しか認めない早期の食道がんであっても見つけることが可能です。特にオリンパス社製の胃内視鏡(胃カメラ)にはNBI(Narrow Band Imaging)という狭帯域光観察モードというものが搭載されており、これを用いて食道を観察すると非常に高い精度で早期の食道がんも発見可能となります。当クリニックで用いている胃内視鏡(胃カメラ)は狭帯域光観察モードだけでなく、より高精度にがんを診断可能な表面構造を拡大してみることができる拡大観察機能も備えた最新鋭のオリンパス社製の胃内視鏡(胃カメラ)です。

 

【狭帯域光観察って何だろう?】
私たちが普段見ている様々な物の色は、実は赤、青、緑の3色を基本として、この3色の組み合わせで作り出されています。この3色は目に見える光の最も基本の色であり、「光の三原色」と呼ばれています。例えば、赤いリンゴを赤と認識するのは、光の三原色からなる自然光がリンゴにあたった場合、青と緑の光はリンゴに吸収されますが、赤い光は吸収されず反射され、見ている人の目に返ってくるため、赤のみを認識できるからです。では、赤いリンゴに赤を抜いた光を当てた場合どうなるでしょうか?青と緑の光は変わらずリンゴに吸収されますが、赤い光がないため、リンゴは反射する光を失い、黒くなってしまいます。
この理屈を利用したのが、胃内視鏡検査(胃カメラ検査)の狭帯域光観察(NBI)モードです。狭帯域光観察(NBI)モードでは、赤を含まない光を照射し、血管は黒く観察されます。
がんは正常部分と比べ、血管を増やし栄養を集めることで異常な増殖をしています。このため、狭帯域光観察(NBI)モードで食道がんの部分を観察すると、この異常血管が黒く認識されるため、食道がんが認識されやすくなります。食道の正常粘膜部分は青緑色として認識されます。

 

図1.通常光で観察した食道がんの画像です。

 

 

図2.NBI(狭帯域光モード)で観察した食道がんの画像です。
正常な部分と食道がんの部分の違いが粘膜の色調の違いとしてはっきり認識できます。

 

食道がんは治療成績が良くないがんの1つですが、早期発見早期治療が出来た場合の治療成績は良好です。
是非一度、ご相談ください。

 

 

 

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。