福岡天神内視鏡クリニックブログ

市販の胃腸薬を調べよう!! その10 タナベ胃腸薬ウルソ

おはようございます。

今回はタナベ胃腸薬ウルソを紹介したいと思います。
15歳以上の用法用量は、1回1錠、1日1回の服用です。
価格は60錠で2915円(税込)なので1日あたり約49円となります。

 

 

これまでにご紹介した胃腸薬は、いずれも「胃酸を抑える」「胃粘膜を保護する」「荒れた胃粘膜を修復する」など胃そのものに作用し、胃もたれなどの症状を改善させる薬でした。
しかし、タナベ胃腸薬ウルソは、直接胃に作用するのではなく、間接的に胃に作用し、特に脂肪の摂取による胃もたれなどの症状を改善させるという胃腸薬です。

 

 

有効成分は、ウルソデオキシコール酸です。このウルソデオキシコール酸はもともと私たちの体内に存在する5種類の胆汁酸のうちの1つです。ウルソデオキシコール酸は、薬として服用すると、それ自体が胆汁酸として作用するだけでなく、肝細胞の機能を改善し、胆汁分泌を促進する利胆作用も示します。

 

食事に含まれる脂肪は、胃酸ではほとんど分解出来ないため、ほぼそのままの形で十二指腸まで排泄されます。十二指腸に脂肪がやってくると、それに反応して消化ホルモンであるコレシストキニンが分泌され、脂肪の消化吸収が行われます。コレシストキニンには脂肪分解作用だけでなく、胃の運動を抑制する作用もあるため、脂肪分を過剰に摂取すると、脂肪分解のために沢山のコレシストキニンが分泌されることとなり、その結果、胃の動きが悪くなり、胃もたれなどの胃の不快な症状が出現します。しかし、胆汁酸が多く存在する脂肪の消化吸収がスムーズになり、コレシストキニンの分泌が抑制されるため、胃の動きは改善します。

 

 

・・・少し難しいですね(笑)。

つまり、まとめると、ウルソデオキシコール酸は自身が胆汁酸として働くだけでなく、肝臓の胆汁分泌を促進し、脂肪分の消化吸収を助けることで、胃の動きを悪化させるコレシストキニンの分泌を抑え、胃もたれなどの症状を改善させます。

 

 

タナベ胃腸薬ウルソの服用をお勧めするのは、脂肪分の多い食事を摂取する機会が多く、脂肪で胃もたれ症状が出やすい方です。
ターゲットをかなり絞った胃腸薬で非常に潔いですね。焼き肉で高級なお肉を食べ過ぎたときには最も効果的です(笑)。

 

 

思い当たる生活習慣の乱れが無いにも関わらず、症状が継続する場合は、ヘリコバクター・ピロリ菌感染などが症状の原因のことがあります。胃の症状の有無にかかわらず、40歳以上で一度も胃内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けたことの無い方は内視鏡検査を受けることを強くお勧め致します。
お悩みの場合は、是非一度ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。