おはようございます。医師の秋山です。
高校サッカー界のレジェンドである小嶺忠敏先生がお亡くなりになりました。
長崎県立国見高校をサッカー強豪校にした名将であり、長崎でその名を知らない人はいない英雄です。
私が長崎市内の病院に勤務していた時、小嶺先生の胃カメラ、大腸カメラ検査を私が担当させていただいたことがありました。とても気さくな方で、太陽のような温かい笑顔で、若輩者であった私にも優しく接していただいたことは一生忘れません。
心よりご冥福をお祈りいたします。
さて、今回は「腸内細菌と温泉の関係」について書きたいと思います。
九州大学の研究チームが、別府市と協力して「温泉は特定の病気のリスクを下げる」という中間報告を出しました。
写真は別府市の街並みです。大分在住の頃はよく行ってました。温泉大好きです。
この研究チームなんですが、日本人の腸内細菌に注目して、膨大なデータベースを基に、かかりやすい病気のリスクを数値化したとのことです。
わかりにくいので簡単に説明すると、特定の病気には、特定の腸内細菌が増えており、それが、温泉に入る前と後でその特定の腸内細菌の数が減ることでその病気のリスクも下がる、という研究です。
内容ですが、治験者40人に、別府温泉に入る前に採血、採尿、採便を行い、その後指定された温泉に毎日入り、1週間後に再び採血、採尿、採便を行うというものでした。
結果ですが、
単純温泉グループ:男性は痛風と過敏性腸症候群が1割以上低下、女性は喘息、肥満のリスクが1割以上低下
硫黄泉グループ:男性は肝臓病のリスクが1割以上低下
でした。
九大研究チームによると、「泉質別、男女別、入浴時間の長短の違いで、特定の腸内細菌の増減の傾向の違いがはっきりと数値に出た。」とのことで、今後は100例を超えるまで研究を続けるとのことでした。
非常に面白いです。温泉に入ることで腸内細菌の数が変わるとは驚きです。
ただ、単純温泉は温泉に入っている様々な成分が少ないので、上記の中間報告の結果だけ見れば、温泉成分が少なくても一定の効果があるということになりますよね。
もしそうであれば、温泉でなくても、普通のお風呂でも効果はあるのではないか?
温泉に入っている時間が関係している?
温泉の温度が関係している?
温泉に入ったというプラセボ効果は?
考えれば考えるほど面白いです。近いうちに結論が出て論文になると思いますので楽しみにしたいと思います。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。