福岡天神内視鏡クリニックブログ

グルテン③

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

先週は2月とは思えないほど暖かい日が続きました。

春はもうすぐですね。

 

先日は、グルテンとは何か、セリアック病について、少々述べました。

セリアック病に続き、今回もグルテンの悪影響について述べます。

 

「リーキーガット」

グルテンの摂取により「リーキーガット」という症状を引き起こすことがあります。

グルテンは体内で消化されにくいため、異物となって蓄積し、腸内環境を悪化させる原因になることがあります。

腸内環境の悪化は、体にさまざまな不調をもたらすといわれています。

リーキーとは英語で「液体などが漏れる」という意味を持つ動詞リーク(Leak)の形容詞。

リーキーとは漏れている状態。

腸は英語でガット(Gut)。

つまり”リーキーガット”は”腸の粘膜に穴が空き、異物(菌・ウイルス・たんぱく質)が血中に漏れだす状態にある腸”のことを指します。

 

 

グルテンの分解物であるグリアジンが上皮細胞に結合すると、上皮細胞内に信号が送られゾヌリンというたんぱく質が過剰に分泌されます。

分泌されたゾヌリンは、上皮細胞自身に改めて結合して信号を送り、その結果、タイトジャンクションを形成しているタンパク質どうしの結合がほどけるのです。

グルテンのほかにも、タイトジャンクションを弱める作用のある食品成分として、アルコール(エタノール)、キトサン、カプシアノサイド(唐辛子成分)などが報告されています。

食品による直接的効果のほか、繊維質の少ない食事や火傷のようなストレスによって起こる腸内細菌バランスの変化によってもリーキーガットが引き起こされることが報告されています。

 

リーキーガットになると

食物成分や細菌が体の中に漏れていきます。

腸管では無害に存在する食物成分は、体の中では外来異物と認識されて抗体がつくられ、抗体ができることが食物アレルギーのきっかけとなります。

また食物成分や、腸内では仲間としての位置づけの腸内細菌も、体の中に移行すると、免疫系から外来異物として攻撃を受けて、そこに炎症が起こります。

もし原因が取り除かれずに持続すればリーキーガットが慢性的に引き起こされ、慢性的に炎症が続きます。

慢性的炎症は、糖尿病、高脂血症や肥満、認知症の進行を促進すると言われています。

 

治療

リーキーガットは炭水化物(グルテン)過多や繊維質不足のように偏った食事や、強いストレスが原因で起こりますから、食事を見直して腸内細菌バランスを整えること、そしてストレスを発散させることで治る可能性が高いです。

癌にならない腸活 実践メルマガ講座 乳酸菌バナー 内視鏡チャンネルバナー

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。