おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回は整腸剤の話をしたいと思います。
整腸剤は今やどのドラッグストアでも必ず置いてあるサプリメントです。誰でも一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。
整腸剤は処方薬として医師が処方することもできるのですが、我々医師は、下痢の時も便秘の時も整腸剤を処方します。
下痢と便秘って相反する症状ですよね。もちろん、医師は整腸剤の効果を知っているから処方するんですが、それにしてもなぜどちらにも整腸剤を処方するんでしょう?
分かりやすく解説していきたいと思います!
①整腸剤はなぜ下痢に効果があるのか?
それでは、なぜ整腸剤が下痢に効果があるのか考えてみましょう。
下痢と言えば、一番多いのは感染性腸炎による下痢ですよね。
ウイルスや細菌が腸内に侵入し、腸内で繁殖して炎症を起こして下痢になってしまいます。
このような場合、整腸剤を飲むことでどのような作用があるのでしょうか。
・ウイルスや病原菌が、腸管上皮細胞へ付着して増殖するのを防ぐ
・腸管のバリア機能を強くする
・炎症で荒れた腸を修復する
・腸管粘膜透過性亢進による下痢症状を和らげる
・腸の知覚過敏による腹痛や腹部膨満などの症状を和らげる
主にこのような作用が期待できます。
病原菌が侵入した腸炎による下痢に効果があるのは間違いないですね。
そして最近では、過敏性腸症候群による下痢の方も非常に多いです。日本人は特にこの過敏性腸症候群が多いと言われています。
過敏性腸症候群は、腸の知覚過敏と腸粘膜の微小な炎症により起こってきますので、そういう意味では整腸剤は過敏性腸症候群による下痢も効果があると言われています。
以上が、整腸剤の下痢に対する効果です。
②整腸剤はなぜ便秘に効果があるのか?
それでは次に、なぜ整腸剤が便秘に効果があるのか考えてみましょう。
そもそも、便秘の人って便が長い時間腸の中に停滞していますよね?これにより腸内環境が悪くなってます。なぜ悪くなるんでしょう?
これは、善玉菌と悪玉菌の増殖スピードと関係しています。
一般的に、善玉菌の方が増殖スピードは早いです。2倍に増殖するのに2~3時間と言われています。
対して、悪玉菌は、2倍に増殖するのに48時間もかかると言われているんです。
普通は、悪玉菌が増殖する前に排便することで、悪玉菌を外に出してしまえばいいのですが、便秘の人は便がずっと腸内にとどまってますので、悪玉菌を外に出せないんですよね。
これにより、いつもより悪玉菌がどんどん増殖して、悪玉菌の縄張りが増えてしまい、腸内環境が悪くなってしまうんです。
加えて、便秘の人は、メタンを産生する菌が増えやすいと言われています。
腸内でメタンが産生されると腸のぜん動運動が抑制されます。これによりさらに便秘になりますし、腹痛や腹部膨満などの症状が出やすくなるんです。
ですので、便秘の人が整腸剤を飲むことにより、
・悪玉菌優位になっている腸内細菌を、健全な善玉菌優位の腸内細菌叢に戻してくれる
・腸のぜん動運動を正常化することにより排便を促す
・メタンなどの腐敗物質産生菌を減らすことにより、腹痛や腹部膨満などの症状を改善してくれる
以上のような効果が期待できます。
いかがだったでしょうか。整腸剤はドラッグストアでも売っています。
下痢や便秘で悩んでいる方はぜひ整腸剤を飲んでみましょう。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。