福岡天神内視鏡クリニックブログ

日本とドイツの大腸がんの罹患率について調べてみました。

おはようございます。医師の秋山です。

 

前回、加工肉と大腸がんの関係について解説をしましたが、患者さんから

 

「ドイツといえば、ビールとソーセージを毎日摂っているイメージがあるのですが、ドイツは日本より大腸がんが多いんですか?」

 

という質問を受けました。確かにドイツといえばビールとソーセージのイメージがありますよね(毎日摂っているというのは言い過ぎのような気がしますが)。

興味深い質問でしたので調べてみました。

 

まずは、日本とドイツの年間の大腸がんの罹患数と罹患率を表にしてみました。どちらも2022年のデータになります。

日本は長寿国ですので、年齢による影響を取り除いた、年齢調整罹患率でまとめています。

  大腸がん年間罹患数 大腸がん年齢調整罹患率

(人口10万人あたり)

日本 145,756人 36.6/10万人
ドイツ 62,544人 25.7/10万人

 

面白いデータになりましたね。

大腸がんの年齢調整罹患率は、日本よりもドイツの方が低いです。

つまり、日本の方が大腸がんの罹患率が高いことになります。

 

「ビールとソーセージ文化であるドイツの方が大腸がんになりにくいのなら、加工肉を食べても大丈夫じゃん」

と考えるのはちょっと安易すぎる気がします。そんな単純な問題ではないです。

 

なぜドイツの方が大腸がんの罹患率が低いのでしょうか?これには様々な要因がありますが、個人的には

「大腸内視鏡検査の受診の差」

だと思ってます。

 

ドイツでは2002年から、全国規模で大腸内視鏡検診が導入されているとのことです。

具体的には、55歳以上の人を対象に、スクリーニングの大腸内視鏡検査を全額負担で無料で受けることができるようになっています(回数制限はあり)。

しかも大腸ポリープを切除した場合も、追加費用なしで行われます。

 

これにより、ドイツでは50歳以上の約半分の方が大腸内視鏡検査を行なっています。

ちなみに日本では、50歳以上の15%程度しか大腸内視鏡検査を行なっていないんです。

 

大腸がんのほとんどが、大腸ポリープが成長したものです。

つまり、大腸がんになる前の段階である大腸ポリープを切除することにより、大腸がんの予防ができます。

 

いかがでしょうか?大腸内視鏡検査がいかに大腸がんを予防するのに重要かがわかるデータですね。

日本では大腸がんになる年齢が下がっており、最近では50歳未満の方でも大腸がんに罹患するケースが増加しています。

40歳を過ぎた方は、まず大腸内視鏡検査を受けてみましょう。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。