福岡天神内視鏡クリニックブログ

大腸憩室症について

こんにちは。医師の秋山です。

本日は「大腸憩室症」について紹介します。

上の写真の大腸粘膜の”凹み”が「大腸憩室」です。

大腸憩室はお腹に力が入ったときに、大腸粘膜内にある脆弱している部分の壁が外側にポンと押し出されるものです。

ですから、内視鏡で中から観察すると、凹んで見えるのです。

「普段からお腹に力が入りやすい仕事や生活習慣をしている方」、「便秘や下痢などの便通異常がある方」に多く認めます。

 

大腸憩室は、ポリープではありません。

よって、特に治療をしたり切除する必要はありません。憩室ができている部分の大腸粘膜は、非常に壁が薄くなっています

 

10人に1人の割合でできると報告れていますが、私が大腸カメラをすると、3人に1人くらいに大腸憩室を認めます。

便秘が悩みで検査を受ける人が多いためか、もしくは報告されていないだけで、本当はもっと高い割合で大腸憩室をもっているか、だと思います。

 

では、大腸憩室があると何か悪いのでしょうか?

便が詰まりやすくなります

上の写真の中央やや右に「憩室に便がはまり込んでいる」のが見えますでしょうか。

便が憩室に詰まると、便秘の原因になります。写真のように他の部位にも実際に大腸内に残渣が残っています。

いわゆる” 宿便 ”です。

便秘の原因になるだけでなく、大腸壁内に細菌が入り込んでしまうと、頻度はまれですが「大腸憩室炎」という炎症を起こします。最悪の場合、憩室部分の大腸壁は薄いため、強い炎症が起きると、腸穿孔をきたします。

もし腸に穴が開いてしまったら、腹膜炎になりますので、緊急手術となります。

また、動脈硬化が進むと痛みもなく突然憩室の血管から大量の出血を認めることもあります。これを「大腸憩室出血」といいます。非常に多量の出血のため血圧が急低下し、倒れてしまうこともあります。

 

大腸癌やポリープだけでなく、大腸カメラを受けると憩室の有無もわかります。

憩室があるかないかを知っておくと、突然の腹痛や出血があった時に憩室関連疾患かもと予測可能です。

大腸カメラを受けたことがない方は、一度ご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。