こんにちは、医師の秋山です。
2013年から「ピロリ菌の除菌治療」が保険適応となりました。
ピロリ菌除菌の推進派を中心に「1億総除菌時代」が掲げられ、ピロリ菌撲滅を目指すことになりました。
胃がんの一番の原因がピロリ菌であるので、除菌により胃がんにかかるリスクを低下させることができます。
さらに除菌治療をした年齢が若いほど、胃がんにかかるリスクをより低下させることができると言われています。
一部の地方自治体では、「中学生でピロリ菌の除菌治療」を行っています。
この治療は採血と便、尿、呼気試験などでピロリ菌の有無を確定させ、「内視鏡検査をしないで」除菌薬を1週間内服するというものです(成人では内視鏡検査が必要になります)。
中学生でピロリ菌除菌を行うメリットは、
① 若いうちに除菌をすることで、より胃がんにかかるリスクを減らすことができる
② 次世代にピロリ菌感染を受け継がないようにできる
ことになります。
これだけ見ると、中学生で除菌することはとても良いことのように思えます。
診療していると、除菌を行っている両親が「子供への感染」を心配することを見かけることがあります。
しかし小児科の先生や学会は慎重派が多く、現在のところ中学生での除菌治療を推奨していません。
理由は、小児では抗生剤や胃酸を抑える薬の安全性が確立されていないからです。
また除菌薬の副作用であるアレルギー反応が、未成年で強く出る可能性もあると言われています。
未成年におけるピロリ菌除菌推進派と慎重派、今後どのような展開になっていくのか、注目しています。