福岡天神内視鏡クリニックブログ

機能性ディスペプシア シリーズ① FDって何?

おはようございます。

前回、器質的疾患と機能性疾患に関してお話しましたが、今回は上部消化管の機能性疾患である機能性ディスペプシア(以下FD)とはどんな疾患なのかお話したいと思います。

FDは、内視鏡検査をしても消化性潰瘍などの器質的疾患が無いにもかかわらず「胃がもたれる」「胃が痛い」「胃がむかつく」「胃が張って食事が食べられない」などの症状がある病態です。日本人の5人に1人が発症しているという報告もあり、特に若い女性に多くみられます。臓器自体には炎症などの異常はありませんが、症状のため日常生活の質が著しく低下します。
FDの症状には以下の3つが関与していると考えられています。

①胃の膨らみが悪い(胃の運動機能障害)
正常な胃では、食事を摂取すると胃の天井部分(穹隆部)が膨らみ、そこに一旦食事をためて、徐々に胃の出口付近で粥状になるまで消化して十二指腸へ排出します。しかし、この膨らみが悪くなると、食事をためるスペースが小さくなり、すぐお腹が一杯になります。食事が十分に消化されることなく、十二指腸へ排出されると、十二指腸では処理しきれず胃に逆流してしまい、さらに消化不良を起こし、胃もたれが生じます。

② 胃酸への感受性が強い(胃の知覚過敏状態)
正常な胃は、胃酸が分泌されても胃粘膜は何も感じませんが、感受性が強くなると胃に痛みを感じます。検査で異常が無いにもかかわらず「みぞおちが痛む」「食後に胃がムカムカする」「酸っぱいものがこみ上げてくる」という症状がある人は、胃の知覚過敏が原因と考えられます。

③ ストレスが多い
FDは胃の運動機能障害があっても胃の知覚過敏状態でも起こりますが、ストレスはこの両方に強く影響を及ぼします。人はストレスを受けると脳の視床下部からストレスホルモンを分泌しますが、このホルモンは胃の動きを鈍くし、胃の膨らみを悪くするため、胃もたれの原因となります。また、ストレスは胃酸の分泌を増やしたり、胃の知覚過敏も引き起こします。胃もたれや胃痛などの症状は、それ自体がストレスになり、さらに症状を悪化させるという悪循環に陥ります。

FDは検査異常を認めませんが、FDでみられる症状は進行胃癌や逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症でも認めます。このため、これらの症状がある場合は、まず胃カメラ検査が必要です。このような症状で悩んでいる場合は、一度お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。