福岡天神内視鏡クリニックブログ

バレット食道と食道がんについて

おはようございます。
前回、食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎によりバレット食道が形成されると食道がんを来すリスクがあることをお話しましたが、今回はもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 

日本人に多い食道がんは、食道本来の粘膜である扁平上皮ががん化して発生する食道扁平上皮がん(食道がんの約90%。アルコールと喫煙が原因となる食道がん)ですが、バレット食道から発生する食道がんは、粘膜が円柱上皮に置き換わっているため、胃がんと同じ腺がんとなります。その発がんのメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、食道腺がんは、胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎とそれに伴う食道の慢性的な炎症が原因となりバレット食道が形成され、それに何らかの原因で遺伝子異常が加わることで発生すると考えられています。

 

食道腺がんは日本人では約10%と、食道扁平上皮がんに比べるとはるかに少ないですが、近年の食生活の欧米化やそれに伴う肥満の増加により日本でも増加傾向の要注意のがんの1つです。欧米では食道がんの50%以上が食道腺がんと言われています。
バレット食道に喫煙が加わると、がん化のリスクは更に高まると言われています。日本の研究では、バレット食道の食道腺がんの発がん率は年率1%未満と報告されており、その発がん率はそれ程高く無いと考えられていますが、欧米のデータでは健康な人に比べてバレット食道のある患者さんの食道腺がんの発生リスクは30~125倍高いという報告もあります。

 

食道腺がんを予防するために最も大切なことは、逆流性食道炎の段階でしっかり治療を行い、バレット食道ができることを予防することです。症状がなくても定期的に胃内視鏡検査(胃カメラ検査)を受け、バレット食道の原因となる逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアがないかどうかを評価することが大切です。また、逆流性食道炎自体は良性疾患ですが、胃カメラで逆流性食道炎を指摘された方は、年1回の定期的な胃カメラ受診をお勧めします。

是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。