福岡天神内視鏡クリニックブログ

好酸球性食道炎の治療について

おはようございます。
今回は、好酸球性食道炎の治療についてお話ししたいと思います。

 

好酸球性食道炎で最も典型的な検査異常は胃内視鏡検査で食道粘膜に縦走する溝状の凹み(縦走溝)を数条認めることです。その他には輪状の溝状の凹み(輪状溝)や多発する白色の浸出物の付着を認めたり、食道内腔が輪状に狭くなっていたりする異常(輪状狭窄)なども認めます。このような異常を認めた場合は、食道粘膜から組織をとって顕微鏡で調べる病理組織検査を行います。
食事中のつかえ感や胸やけなどの症状があり、病理組織検査で上皮内に好酸球の浸潤があれば、好酸球性食道炎を強く疑います。

 

しかし、前回お話ししたプロトンポンプ阻害薬反応性食道好酸球浸潤(PPI-REE:proton pump inhibitor-responsive esophageal eosinophilia)という病気と好酸球性食道炎は非常に似ています。唯一区別可能な点が、逆流性食道炎の治療に用いるプロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃酸を抑える薬で症状が改善するかどうかです。この薬で症状が改善する場合は、好酸球性食道炎ではなくプロトンポンプ阻害薬反応性食道好酸球浸潤(PPI-REE)の方となります。

 

このため、好酸球性食道炎の可能性がある場合に最初に行うべき治療は診断も兼ねたPPIの投与です。PPI投与による反応をみてプロトンポンプ阻害薬反応性食道好酸球浸潤(PPI-REE)を除外します。PPI投与で症状が改善しなければ、好酸球性食道炎として治療を開始します。

 

好酸球性食道炎として最初に行うべき治療はステロイドの局所投与です。
喘息の治療に用いる吸入ステロイド薬を吸い込まずに1日2回飲み込みます。具体的には吸入薬を口の中に含み、息止めした状態で飲み込みます。また、飲み込んだ薬がしばらく十分食道粘膜にしっかり触れることが大切なため、服用後は30~60分は飲食が禁止です(流れてしまうため)。ステロイドは局所投与では副作用が起こりづらいですが、有効率は約60%と報告されています。
このステロイドの局所投与が無効な場合は、ステロイドの全身投与を検討します。

 

治療を行わずに放置すると、経過とともに慢性炎症が原因で食道壁の粘膜下層に線維化が起こり、食道壁が硬く伸展しなくなり、さらに食道の内腔が狭くなる(狭窄する)と食事が食べられなくなってしまいます。こうならないためにもしっかりした診断と治療は必要です。

 

逆流性食道炎と診断されたのになかなか治らないという場合は好酸球性食道炎かもしれません。
気になる方は是非一度ご相談ください。

 

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。