福岡天神内視鏡クリニックブログ

胃もたれ症状と胃の形について

おはようございます。
今回は胃の形と胃もたれなどの症状の関係に関してお話ししたいと思います。

 

胃の形は大きく分けると「牛角胃(ぎゅうかくい)」「鉤状胃(こうじょうい)」「瀑状胃(ばくじょうい)」の3種類に分類されます。
実はこの胃の形によって食べたものが胃で消化され、十二指腸に排泄されるまでの時間に違いがあるんです。
それぞれの胃の形とその特徴を簡単にお示しします。

 

①「牛角胃(ぎゅうかくい)」
牛の角の様にすらっとした形の胃を牛角胃といいます。
日本人には少なく、欧米人に多い形の胃です。すらりとした形をしているため、胃で消化した食べ物が十二指腸に排出されやすく、胃もたれを起こしにくい形の胃です。しかし、食事が胃にとどまる時間が短く、すぐに十二指腸へ排出されるため満腹を感じにくく、過食気味になりやすいと言われています。

 

②「鉤状胃(こうじょうい)」
つり針のように曲がった形をした胃を鉤状胃といいます。
日本人に多い胃の形と言われています。
胃の中央部分下側(胃体部大弯)が出口部分(幽門部)より低い位置にあり、この胃体部大弯に食べ物が溜まりやすくなっています。胃の動きがスムーズな時は、十二指腸まで比較的スムーズに食事を排出しますが、胃の動きが悪くなると、胃体部大弯に食事が残りやすく、胃もたれなどの症状が出やすくなります。

 

③「瀑状胃(ばくじょうい)」
胃の上部が大きく、逆「く」の字型をした胃を瀑状胃といいます。
日本人の20~30%に見られると言われている胃の形です。食べ物は大きく折れ曲がった部分を越えにくく、胃の入り口に近い上部に溜まりやすくなっています。このため胃の下部で分泌される胃酸が上手く利用できず、胃から十二指腸への排出にも非常に時間がかかります。このため、胃酸過剰になりやすく、食道への酸逆流や胃炎を起こし、胃もたれや胸やけの症状がでやすくなります。

 

このように瀑状胃は、この消化のされにくさや胃からの食事の排出のされにくさが根本的に改善されなければ、症状に対して胃薬を内服しても改善は期待できません。
胃のレントゲン検査や胃カメラ検査などで瀑状胃を指摘された人は、食後に体の左側下横向き(左側臥位)になり、続いてうつぶせ、最期に右下横向き(右側臥位)になってから体を起こすと食べ物を胃の上部から胃の出口付近へ移動させることが出来るため、症状が出現しにくくなります。

 

胃もたれ症状がなかなか改善しない方は、瀑状胃かもしれません。
気になる方は是非一度ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。