福岡天神内視鏡クリニックブログ

酸分泌抑制薬の功罪

おはようございます。医師の細川です。
最近、益々寒くなってきましたね。電車の車内の暑さに合わせて少し薄着にしていましたが、さすがに外の寒さに耐えられず、アウターの中にインナーダウンを着ています。

厚めの生地のアウターを1枚着るよりインナーダウンなどの重ね着の方が暖かいです。でも、そのかわり電車の車内は非常に暑い・・・。そんなときは薄手のアウターを脱ぐだけでOKです。そういう点でも調節しやすく重ね着はお勧めです。

ピーコのファッションチェックでは駄目出しされそうですが(笑)

 

 

さて、私たち消化器内視鏡専門医が知識のup dateのために愛読している医学雑誌が2つあります。

医学書院の「胃と腸」と東京医学社の「消化器内視鏡」です。

この「消化器内視鏡」に逆流性食道炎や胃十二指腸潰瘍の治療で良く用いられる胃酸分泌抑制薬について特集されていたので今回は、その一部を少しご紹介したいと思います。

 

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)と言われる胃酸分泌を強力に抑制する胃薬は、逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍など多くの上部消化管疾患の治療に用いられる消化器内科の分野ではメジャーな薬の1つです。

酸逆流症状などを改善させる非常に効果的な薬ですが、私自身は患者さんに対して症状の強い短期間のみしか処方しないように心がけています。極力、薬で症状を緩和させるのではなく、生活習慣改善などで酸逆流を起こしにくい体を手にいれるよう指導しています。その理由は、PPIの長期投与には懸念される副作用があるからです。

 

口から侵入した細菌は胃酸で殺菌されますが、PPIを服用していると、腸管への細菌侵入を許してしまうため、カンピロバクター腸炎やサルモネラ腸炎などの細菌性腸管感染症のリスクが高まると報告されています。

また、胃酸は小腸でのカルシウム吸収にも関与しているため、PPI服用は骨折や骨粗鬆症のリスクを高めると報告されています。ビタミンや鉄、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの吸収障害やそれに伴う認知症発症や不整脈などのリスクを高めるという報告もあります。

さらに、胃がんや大腸がん、胃カルチノイド腫瘍などの悪性腫瘍の発生を促進する可能性なども報告されています。

このようにPPIの長期投与には、様々な副作用のリスクが懸念されるため、逆流性食道炎などに対して漫然とPPIを内服するのはお勧めしません。

 

 

いつまでも若くいたい、健康でいたいというのは多くの人が望んでいるところだと思いますが、そのためには食生活や生活習慣改善などの努力が必要です。

お悩みの場合は、ご相談ください。

酸逆流などの症状出現には、ほとんどの場合、原因があります。安易に薬に頼るのではなく、その原因を突き止め、それを改善させるためのお手伝いが少しでも出来れば幸いです。

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。
2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。