福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘治療に対する認識

おはようございます。
当クリニックには、便秘治療を希望されてご来院される患者様が非常にたくさんおられます。
診察時に便秘治療に対する認識が私たち医師側と患者様側で大きく違うなと感じます。

 

私たち医師の便秘治療の最終目標は、下剤を用いずに患者様が便を出せるようになることですが、ご相談頂く患者様の多くが、明日からすぐに便が出せるようになることを求めてご来院されています。
長年、悩んでいる便秘から1日でも早く解放されたいというのは、もっともな希望です。
しかし、なかなか難しい点が多いのが実際です。

 

即効性のある治療を求めると、やはり刺激性下剤に頼ることになってしまいます。
刺激性下剤は即効性があるため、ついつい頼りたくなる良いお薬ですが、習慣的に服用すると次のような問題があります。

①毎日服用すると薬剤耐性でやがて効果がなくなる。
②習慣性・精神的依存性があるため一定期間毎日使用すると、やめられなくなる。
③大腸が自分で動く運動能が低下し、難治性便秘になる。
④効果が無いからと内服量を増加するとさらに悪循環に陥り、下剤乱用症候群や結腸無力症に陥ることもある。

 

ご相談頂く患者様の多くが数年来便秘で悩まれており、既にご自身で市販の刺激性下剤などを色々試されています。当初は効果が見られていたのが、徐々に効果が薄れ、刺激性下剤を増量しても効果が無くなり、病院を受診されるというケースが多いため、ご来院時に上述した問題を起こしてしまっています。
私たち医師は、この怖さを認識しているため、下剤の服用による強制排便ではなく、生活習慣改善による自然排便を目指しているのです。

 

多くの患者様が、毎日排便がないと「便秘」と思い込まれていますが、実はこれは大きな誤解です。
実は、日本消化器病学会でも、便秘の明確な日数は定義されていません。仮に毎日排便があったとしても、すっきり感がなく、腹部の不快な症状などがあれば便秘と定義しています。

あるデータによると、2日に1回の排便が最も多く、次いで2-3日に1回の排便となっており、実際には毎日排便がある人むしろ少ないと言われています。仮に4-5日に1回しか排便がなくても腹部に不快感や残便感などの症状がなければ、これは「便秘」ではなく、ただ排便タイミングが他の人より少し長いだけです。

 

毎日、便を出さなきゃと思い込み、お腹の症状もないのに刺激性下剤を服用し排便することは、逆に将来、本物の難治性便秘症になる危険性が高いのです。

 

便秘治療は、運動や食事、ストレスの解消、しっかりとした睡眠などの生活習慣の改善が最も大切です。
便秘治療はダイエットと非常に似ており、最も効果があるのはこうした日々の積み重ねです。ここを頑張ることなく、薬に頼って短期的な結果を追い求めると、数年後にとても酷いリバウンドに悩むことになります。

便秘治療は、長期的に取り組むのが最も大切です。お悩みの方は、是非一度ご相談下さい。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。