おはようございます。
当院には胃の不快な症状を訴えて来院される方が沢山いらっしゃいます。その中には逆流性食道炎の方が多くおられます。
逆流性食道炎とは胃液に含まれる胃酸が食道に逆流することで食道の粘膜に炎症(ただれやびらん)が生じる病気です。非常に多くの方が悩んでいる消化器内科の中でも非常に患者さんが多い病気です。
そこで今回からシリーズで逆流性食道炎についてお話したいと思います。
その前に初回として今回は食道の働きについてお話します。
私たち人間が食べた物は、まず口の中で唾液と混ざり、咀嚼運動(歯で噛むこと)で細かく刻まれ、咽頭と食道を通って胃に運ばれます。
胃はこの食べ物を一時的に蓄え、胃液と胃の蠕動運動(食べ物を先に送り出す運動)により食べ物を粥状にしたら、十二指腸という小腸に運びます。
小腸ではこの粥状になった食べ物にさらに膵液と胆汁、小腸液が混ざり栄養分が消化吸収されるとその残りカスが大腸に運ばれます。
大腸に運ばれた残りかすは液体の形をしていますが、大腸を通過する間に余分な水分は再吸収され、ふっくらとした糞便が形成され、肛門から排泄されます。
このよう口から肛門までは、食道、胃、小腸(十二指腸・空腸・回腸)、大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸)という全長が約9mにもおよぶ消化管で構成されています。
この中で食道はのどと胃の間にある消化管です。
食道の全長は約30cmで胃に食べ物を送る働きをしています。
食べ物が食道に入ってくると食道の筋肉は伸び縮みして蠕動運動(食べ物を先に送り出す運動)を起こし、食べ物を毎秒4cmの速度で徐々に胃に運びます。つまり私たちが食べたものは10秒ほどで胃に運ばれます。
このように食道の役割は胃に食べ物を無事に運ぶことです。
このため、胃に入った食べ物が食道に逆流しないように食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部(噴門部)には、噴門を取り巻くような形でリング状の下部食道括約筋という筋肉があり、この筋肉が締まることで胃の内容物が逆流しないように調節しています。
食べ物が食道から食道胃接合部に到達すると下部食道括約筋は緩んで食べ物を胃内にいれ、食べ物が通過した後は下部食道括約筋がすぐに収縮し、逆流を防いでいます。
ところが、この下部食道括約筋が上手く機能しなかったり、胃酸の分泌が過剰になったりすると、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
食道に胃酸が逆流してきても少量であれば、食道の蠕動運動や食道の分泌物、唾液などにより速やかに排除されますが、この排除力が低下したり、排除力以上に胃酸逆流が起こると、胃酸により食道粘膜が傷つき、逆流性食道炎を発症してしまいます。
次回は、逆流性食道炎の症状についてお話ししたいと思います。
お悩みの方は、是非、一度ご相談ください。