おはようございます。
逆流性食道炎シリーズ第23回です。
逆流性食道炎で最も処方されている胃酸分泌抑制薬はPPIですが、PPIにはいくつか種類があり、どの薬が効くかは個人差があります。
今回は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の種類とその効果についてお話ししたいと思います。
現在、日本で逆流性食道炎の治療に用いることができるPPIは、次の4種類があります。
①オメプラゾール(商品名:オメプラゾン、オメプラール)
②ランソプラゾール(商品名:タケプロン)
③ラベプラゾール(商品名:パリエット)
④エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)
一般的に、私たちが服用した薬は、小腸で吸収されると血液中に取り込まれ、肝臓に送られた後、心臓を経由して全身に行きわたり効果を発揮します。
しかし、血液中に取り込まれた薬は、体にとっては本来、異物であるため肝臓を通過する際に肝臓の解毒作用により一部が分解され排除されます。
肝臓での解毒作用をすり抜けることが出来たものだけが全身に行きわたり薬としての効果を発揮します。
この肝臓での解毒作用を行うのが薬物代謝酵素です。
4種類のPPIのうち、オメプラゾール(商品名:オメプラゾン、オメプラール)とランソプラゾール(商品名:タケプロン)は肝臓でCYP2C19という薬物代謝酵素の影響を大きく受けますが、ラベプラゾール(商品名:パリエット)とエソメプラゾール(商品名:ネキシウム)はCYP2C19の影響はそれほど受けません。
日本人は体質によって、この肝臓のCYP2C19という薬物代謝酵素の働きに個人差があるため、働きが強い患者さんでは、その影響を強く受けるオメプラゾール(商品名:オメプラゾン、オメプラール)とランソプラゾール(商品名:タケプロン)は薬の効果が出にくくなります。
もし、逆流性食道炎の治療として、オメプラゾール(商品名:オメプラゾン、オメプラール)とランソプラゾール(商品名:タケプロン)を病院で処方されて服用したけれど、あまり症状が改善しないという場合は、この肝臓のCYP2C19という薬物代謝酵素の働きが強い体質かもしれません。
その場合は、PPIをラベプラゾール(商品名:パリエット)とエソメプラゾール(商品名:ネキシウム)に変更するだけで効果が出る可能性があります。
この辺は、あまりよく知らずに処方している医師も多いため、思い当たる場合は主治医に相談してみましょう。
症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。