おはようございます。
逆流性食道炎シリーズ第26回です。
今回は逆流性食道炎の治療に用いられる粘膜保護薬についてお話しします。
逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つき、びらんやただれなどの炎症を起こしてしまう病気です。
そこで「食道粘膜が刺激に弱いなら刺激に負けないように守ってあげれば良いじゃん」という発想で使われる薬が粘膜保護薬です。
逆流性食道炎の治療で使用される粘膜保護薬はアルギン酸ナトリウムです。
アルギン酸ナトリウムは昆布やワカメなどの海藻類に含まれるヌメリ成分です。
少し飲みにくいドロリとした液体の薬ですが、食道粘膜を覆うことで胃酸から粘膜を保護する作用を発揮します。
手の皮膚と同じ弱い肌である食道粘膜が鎧を纏うことで強酸である胃酸から身を守るイメージですね。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)、H2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制薬を服用しても胸やけなどの自覚症状が改善しない場合に、酸分泌抑制薬に併用すると自覚症状の改善に有効です。
服用のタイミングは、食前または食間(食後2時間後)が効果的です。
アルギン酸ナトリウムだけを単独で使用するケースはあまりありませんが、患者さんの症状や炎症の程度に併せて、酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬などと組み合わせて使用します。
とはいえ、繰り返しになりますが、逆流性食道炎の一番大切な治療は生活習慣改善や食生活の改善などの原因の改善です。
これには患者さん自身の努力も必要です。
この根本的な原因の改善を行わず、薬による加療だけを行っても効果があまり得られないだけでなく、一時的に効果があったとしても、薬の服用を中止するとすぐに再発してしまいます。
逆流性食道炎を指摘された場合は、生活習慣を改める良い機会です。
まずは現在の習慣を一度見直してみましょう。
症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。