福岡天神内視鏡クリニックブログ

逆流性食道炎を考察する その27 逆流性食道炎と胃酸中和薬

おはようございます。

逆流性食道炎シリーズ第27回です。

今回は逆流性食道炎の治療に用いられる胃酸中和薬(制酸薬)についてお話しします。

 

 

逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つき、びらんやただれなどの炎症を起こしてしまう病気です。

そこで「胃酸が出過ぎるなら酸の強さを中和すれば良いじゃん」という発想で使われる薬が胃酸中和薬(制酸薬)です。

 

 

胃酸中和薬(制酸薬)は胃で分泌された胃酸や、食道に逆流してきた胃酸を中和して、食道粘膜が傷害される程度を軽くしたり、症状を和らげます

前回お話しした粘膜保護薬と同様に、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)、H2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制薬を服用しても胸やけなどの自覚症状が改善しない場合に、酸分泌抑制薬に併用すると自覚症状の改善に有効です。

胃酸分泌抑制薬で胃酸そのものの分泌量を減らした上で、胃酸中和薬(制酸薬)で既に分泌されている胃酸を中和することで食道粘膜が胃酸により傷害されるのを抑えるイメージです。

 

 

胃酸中和薬(制酸薬)としては、炭酸水素ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムがあります。

酸化マグネシウムは便秘に対して緩下剤としても使われますが、内服量を少量にすると胃酸中和薬(制酸薬)としての効果が期待できます。

 

 

胃酸中和薬(制酸薬)は、市販の胃腸薬に良く含まれる成分ですね。

私たち医師が胃酸中和薬(制酸薬)だけを単独で使用するケースはほぼありませんが、患者さんの症状や炎症の程度に併せて、酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬、粘膜保護薬などと組み合わせて使用します。

 

 

これまでにも何度もお伝えしてきましたが、逆流性食道炎の一番大切な治療は生活習慣改善や食生活の改善などの原因の改善です。

この根本的な原因の改善を行わず、薬による加療だけを行っても効果があまり得られないだけでなく、一時的に効果があったとしても、薬の服用を中止するとすぐに再発してしまいます

 

 

逆流性食道炎を指摘された場合は、生活習慣を改める良い機会です。

まずは現在の習慣を一度見直してみましょう

 

症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。