おはようございます。
前回から始めた便秘を考察するシリーズですが、今回は第2回目として便秘の定義についてお話ししたいと思います。
じつはこれまで日本では、便秘治療は医師の間でも軽く見られてきた経緯があります。
便秘は患者さんのQOL(生活の質)は著しく低下させますが、余程の重症例以外は、便秘自体が命そのものに影響を及ぼすことは少ないため、便秘治療に対するガイドラインもなく、日本では保険診療で使用可能な薬剤も限定的でした。
しかし、実際には便秘で非常に悩んでいる患者さんは多く、日本人の約14%が悩んでいるという報告があります。
便秘は生活に影響を及ぼし、その質を著しく低下させる疾患です。
多くの日本人が便秘で悩んでいるにもかかわらず、日本ではその診断や治療が遅れていました。
この状況を打破するために2017年に日本消化器病学会関連研究会である慢性便秘の診断・治療研究会が慢性便秘症診療ガイドライン2017を取りまとめました。
このガイドラインが出来るまでは、便秘は、その定義すら曖昧でした。
慢性便秘症診療ガイドライン2017では便がしっかり快適に排便出来ない状態である「便秘」と、便秘のためにお腹の様々な不快な症状が出現し、医学的にその原因を調べるための検査や治療介入が必要な状態のことを「便秘症」と、それぞれ分けて定義しています。
同ガイドラインでは、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出出来ない状態」と定義されています。
一方、便秘症は「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする場合であり、その症状として排便回数減少によるもの(腹痛、腹部膨満など)、硬便によるもの(排便困難、過度の怒責など)と便排出障害によるもの(軟便でも排便困難、過度の怒責、残便感とそのための頻回便など)がある」と定義されています。
少し分かりにくいですね・・・。
分かりやすく簡単に説明すると、しっかりとした量の便がするりと排便出来ない状態があるのが「便秘」、この便秘のためにお腹の不快な症状が出るようになり、その原因を調べるための検査や治療が必要な状況になったものが「便秘症」です。
実際にクリニックを受診する患者さんの多くは、ただ単に便が出ないというよりは、そのためにお腹の症状があり、受診されているため、便秘のために便秘症になっている状態です。
その原因を調べるために大腸内視鏡検査などを行い、生活習慣の改善や治療を行っていく必要があります。
次回以降のシリーズで生活習慣の改善や治療について少しずつ説明をしていきたいと思います。
お悩みの方は、是非一度、ご相談ください。