おはようございます。医師の秋山です。
突然ですが問題です。
「胃がんの原因菌はヘリコバクター・ピロリ菌ですが、大腸がんの原因菌はなんでしょうか?」
ピロリ菌はすっかり有名になりました。患者さんもピロリ菌に対してある程度の予備知識があるため、診療中にピロリ菌の説明をするのもスムーズにできます。
それでは、大腸がんの原因菌ってあるのでしょうか?もしあったとしたら、そいつをピロリ菌みたいに除菌できたら最高だと思いませんか?
昔は、悪玉菌の代表格である「ウェルシュ菌」が大腸がんの原因と言われたことがありました。
実はなんとあのピロリ菌も、人種によっては大腸がんの原因菌の可能性がある、という論文が出たこともあります。
個人的な意見ですが、どちらも決め手に欠けると思っています。
質問の答えですが、大腸がんの原因菌というものはまだ特定はされていません。
ただ、腸内細菌の中の「悪玉菌」と呼ばれる奴らが大腸がんの原因の1つとなっているのは確実です。
正確に言うと、悪玉菌が産生する有害物質が、大腸の壁に作用して大腸がんができると考えられます。
せっかくですのでもう少し知識を掘り下げてみましょうか。
それでは、逆に大腸がんを予防するような菌ってあるんでしょうか?
実はあります。
それは「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株」です。
なんか聞いたことありませんか?
そうです、実はあの「ヤクルト」に含まれる乳酸菌です。
日本で行われた試験で、この「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株」を摂取した人の方が、摂取してない人よりも、大腸ポリープや大腸がんの発生が少ないという報告が出ました。
なんでこの菌が大腸がんを予防するのか?それについては長くなるので後日書きたいと思います。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。