福岡天神内視鏡クリニックブログ

下剤を考察するその22 下剤の功罪3

おはようございます。医師の細川です。

今回はいわゆる刺激性下剤による依存症と大腸メラノーシス(大腸黒皮症)についてお話します。

 

 

刺激性下剤は、毎日継続して服用していると「服用しないと便が出せなくて不安になる」「便を出したくて規定量を超えた量を服用している」などの精神的な依存性を引き起こす恐れがあります。

 

また、前回お話したように刺激性下剤による強制排便を繰り返すと、腸を自力で動かすことが次第に出来なくなります

また、脳が直腸に到達した便を感じて指令を出すという連携も上手くいかなくなり、自然な便意自体を感じなくなり自然排便が出来なくなってしまいます

さらに、肛門とその周囲の排便にかかわる筋肉が衰え、益々排便が出来なくなり便秘が悪化するという事態に陥ってしまいます。

 

 

ドラッグストアで購入可能な即効性のある市販の下剤薬であるコー○ックやスルー○ック、漢方薬は、アントラキノン系というタイプの下剤です。

生薬のアロエやセンナ、ダイオウが成分として配合されています。

このタイプの下剤は大腸のうち結腸を刺激して便を強制排便させる下剤です。

アントラキノン系の下剤は、長期的に服用を継続すると上述したように結腸がその刺激に慣れてしまい、通常量では効果が得られなくなってきます

 

 

さらにアントラキノン系の下剤は、長期服用すると大腸そのものに大腸メラノーシス(大腸黒皮症)という形態異常を引き起こす可能性もあります。

大腸メラノーシス(大腸黒皮症)は内視鏡検査で大腸の粘膜が黒ずんでいることで診断される形態異常です。

正常な大腸の粘膜は綺麗なピンク色をしています。

アントラキノン系の下剤が体内で分解される際に、腸にメラニンの様な色素沈着が起こると考えられています。

大腸メラノーシス(大腸黒皮症)による色素沈着は腸管の神経にも影響を与え、大腸が古くなって伸びたゴムホースの様な状態になってしまいます

 

 

大腸メラノーシス(大腸黒皮症)自体には痛みなどの自覚症状はありませんが、色素沈着を起こしている部分は腸管の神経の働きが低下するため、腸の動きが止まり、ただでさえ動かなくなっている大腸の動きを弱め、重症の便秘症を引き起こす原因となります。

 

この大腸メラノーシス(大腸黒皮症)はアントラキノン系の下剤を毎日の服用であれば6ヶ月程度、断続的な服用であれば1年程度で起こるという報告もあります。

 

 

下剤を服用することで得られる排便は、便秘が治っているわけではありません。

あくまでもクスリの力で強制排便させているだけです。

 

これを続けていると、将来的に便秘を更に悪化させることに繋がります。

便を毎日出すことにとらわれて毎日下剤を連用することは止めましょう。

 

ただし、どうしても便が出せずに苦しいときにたまに服用して便を出すのは問題ありません。

下剤は、あくまでも急場の対処法として一時的に服用するだけにとどめましょう。

 

便秘の多くは、慢性的な水分摂取不足、運動不足、食事や生活のリズムの乱れが原因です。

当てはまることはありませんか?

安易にクスリに頼るのでは無く、まずは、自身の生活習慣を見直してみましょう。

 

 

次回もいわゆる刺激性下剤の危険性についてお話ししたいと思います。

お悩みの方は、是非一度、ご相談ください。

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。
2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。