福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その33 便秘に関する勘違い

おはようございます。

今回は便秘に関して、都市伝説のように多くの人が信じている勘違いに関してお話ししたいと思います。

 

1)便秘になると太る?

ときどき、便秘になると太るので便秘を治したいと言われる女性の患者さんがいますが、実は便秘と肥満の間には因果関係はありません

肥満は体脂肪の増加により体重が増加した状態です。

便秘の場合、体内に非常に多くの便が溜まっていると、当然、その分だけ体重は増え、溜まっている便を排便することでその分体重が減ります。

しかし、これはあくまでも溜まっていた便の分体重が減っただけです。

体についていた余分な体脂肪が減ったことで体重が減ったわけではありません。

このように体重の数字の増減だけをみて、便秘になると太ると思うのは実は勘違いです。

そうはいっても、便秘の原因が食生活の乱れや運動不足にある場合は、これらの生活習慣の乱れから結果的に肥満になってしまっている可能性はあります。

この場合は、生活習慣の改善を行えば、便秘も肥満もともに改善させることが可能です。

 

 

2)便秘は大腸がんのリスクになる?

便秘で大腸に便が長時間とどまっていると便中の発がん物質が腸に悪影響を与え、大腸がんが出来るリスクを高めるのではないかと心配する方が多くいらっしゃいます。

大腸がんのリスク因子に関する疫学研究はこれまでに沢山調査されていますが、結論から言うと現時点では便秘が大腸がんのリスクを高めるというデータはなく、便秘と大腸がんには関連は無いという報告がほとんどです

アメリカ消化器病学会によると、便秘がある集団の方が、便秘のない一般的なリスク集団よりも大腸がんを発症する相対リスクが0.76とむしろ低く、便秘のある集団の方が便秘のない一般的なリスク集団よりも大腸がんが少ないという報告をしています。

これからも便秘と大腸がんには関連は無いと考えられます。

ただし、便秘に対して下剤を使用している場合は、状況が一変します。

東北大学の研究によると、週に2回以上、下剤を使用する人は、下剤を使用しない人に比べて大腸がんが2.76倍出来やすくなると報告しています

頻回の下剤の使用は、大腸に炎症を起こす原因となり、このため大腸がん出来やすくなるのではないかと考えられています。

この事から、大腸がん自体は便秘がリスクにはならないが、不適切な下剤の使用は大腸がんのリスクを高めると考えられます。

生活習慣などを改善させることなく、安易に排便を求めて下剤を使用するのは止めましょう。

 

 

3)便の形はバナナの様な便じゃないとダメなの?

バナナの形のような排便があって、腹痛も残便感もなく、排便後スッキリしているのであれば、もちろんそれが最も理想的な状態です。

とはいえ、バナナのような形にこだわる必要は全くありません。

食事から摂取する食物繊維が少ない場合は、便が硬くなり、いくつかに分かれて排便されることもあれば、食事量が少ない場合は、便自体が少量になることもあります。

排便後に残便感がなく、スッキリしているのであれば、便の形や量を必要以上に気にする必要はありません。

 

 

4)便意の我慢は良くない?

たまに便意を我慢する程度であれば問題ありませんが、我慢し続けていると便意そのものが起こらなくなり便秘につながります。

朝食後に便意があったけど、忙しくてトイレに行く暇が無かったから、後で行こうと我慢したら、便意がなくなって排便出来なかったという経験は誰でも一度はあるのではないでしょうか?

便意の我慢を繰り返すことが原因で便秘になっているという人は、実はたくさんいます。

便意を感じたときが、排便する絶好のチャンスです。

これを逃さずトイレに行くようにしましょう。

 

 

如何だったでしょうか?

便秘に関する勘違い皆さんもしていませんでしたか?

下剤の不適切な仕様は、大腸がんのリスクを高めるというのをご存知でしたか?

便秘の改善は、やはり日々の生活習慣の見直しが大切です。下剤に頼らず排便出来るように運動、食生活、規則正し生活を心がけましょう。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。