福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その34 タイプ別慢性便秘症(けいれん性便秘について)

おはようございます。

他の病気が原因の便秘や、病気の治療薬の副作用が原因で起こる便秘は二次性便秘といい、純粋な便秘である慢性便秘とは分けて考える必要があります。

二次性便秘の場合は、便秘の治療ではなく、原因となっているもともとの病気の治療やクスリの中止が必要です。

一方、慢性便秘症はもともとの生まれながらの体質や生活習慣の影響が大きく関わっていますが、そこにさらにいくつかの要因が加わることで起こると考えられています。

慢性便秘症は、その原因によって「けいれん性便秘」「腸管形態異常型便秘(ねじれ腸、落下腸など)」「直腸性便秘」「排出障害性便秘」「弛緩性便秘」に分類することができます。

今回は「けいれん性便秘」について解説したいと思います。

 

けいれん性便秘は、ストレスや不安、緊張状態などがかかると大腸がけいれんし、腸が動かなくなる体質が原因で起こる便秘症です

大腸のひだが同じ場所でけいれんを繰り返すため、便を肛門へと押し出す運動が上手く出来なくなり、便が大腸のひだとひだの間にとどまってその先に進むことが出来なくなります。

すると、停滞しているうちに便からドンドン水分が吸収されてしまうため、硬くコロコロしたウサギの糞のような便になるのが特徴です。

便が同じ場所で停滞して中々、肛門まで運ばれないため、便が大腸を通過する時間が長く、大腸通過遅延型便秘に分類されます。

 

この体質の人は、普段は排便があるのに、旅行に行ったり、災害などで避難所生活になると、ストレスから1週間以上も排便がなくなるケースもみられます。

「仕事のある平日は便が出ないけど、休日になると便が出る」「旅行中は便が出ないけど、自宅に帰ると便が出る」「在職中は毎日便が出ていたけど、定年退職後、自宅で過ごす時間が増えて便が出なくなった」などのパターンもこのタイプの便秘で、いわゆる過敏性腸症候群の便秘型の人もこのタイプです。

 

 

【対処法】

このタイプの便秘は体質によるものが原因なので、ストレス自体が無くなるか、ストレスに慣れてストレスをストレスと感じなくなれば、薬などを使わなくても自然に改善します

このため、便が出なくてもお腹の不快感がなければストレス解消を心掛けるだけで問題ありません。

時々、お腹の症状は何も無いにも関わらず、便が毎日出ないということを気にされている方がいますが、排便回数自体を気にする必要はありません。

排便回数を気にするとそれがストレスとなり、逆に症状が悪化することもあります。

基本的には、気にしないのが一番効果的です。

 

ただし、排便が無いときに腹痛が出たり、お腹が張ったりする場合や高齢者では薬で治療が必要です。

この際に使用する薬は、硬くなっている便を軟らかくする酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤が有効です。

もともと腸の収縮が強く、腸がけいれんするのが便秘の原因のため、いわゆる刺激性下剤は逆効果になるので注意が必要です。

薬で排便させた後は、ストレスを減らす生活を心掛けましょう。

 

次回以降は他のタイプの便秘についてお話ししたいと思います。

お悩みの方は是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。