福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その39 女性は便秘になりやすい!?

おはようございます。医師の細川です。

 

日本人女性は、半数以上が便秘で悩んでいると言われていますが、女性が男性よりも便秘になりやすいのには実は理由があります。

そこで、今回はその理由についてお話ししたいと思います。

 

 

理由1:女性は大腸が長い!!

2013年に日本消化器内視鏡学会雑誌で50歳以上の日本人の大腸の長さに関して次のような報告が発表されています。

 

50歳以上の日本人全体の大腸の平均の長さ:154.7cm

50歳以上の日本人男性の大腸の平均の長さ:154.3cm

50歳以上の日本人女性の大腸の平均の長さ:155.2cm

 

身体の大きな男性よりも実は小さな女性の方が大腸は長いという衝撃の報告です。

もともと体格自体は女性の方が小さいので、当然、腹腔内という大腸をはじめとした内臓を収納するスペースも女性の方が小さくなっています。

また、女性は男性にはない子宮という臓器もあるため、さらに腹腔内のスペースは男性よりも女性の方が小さくなります。

小さな空間に長いものを収納するためには、細かく折りたたんで収納しなければならないというのは容易にイメージ出来ると思います。このため、女性の方が大腸の折れ曲りが多くなり、便が通過しにくくなります。

実際、大腸内視鏡検査も、男性に比べて女性の方が挿入の難しい方が多いです。

 

 

理由2:女性は腹筋が弱い

女性は大腸の長さが長く、ねじれも多いことに加えて、男性よりも腹筋が弱いため、排便時に便を送り出す力が弱いというのも排便力に影響しています。

 

 

理由3:女性ホルモンの影響

女性が便秘になりやすい原因として最も大きな原因が女性ホルモンの影響です。

女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つのホルモンがあります。

この2つのホルモンが月経や排卵のサイクルに合わせて大きく変化しています。

排卵前は、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が多くなるため排卵が促され、排卵後は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が多くなり、子宮内を整えます。

黄体ホルモン(プロゲステロン)は、体内に水分や塩分をためる作用があるため、大腸から便の水分を吸収し、便を硬くします。また、妊娠継続ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)には、流産しないように子宮筋の収縮を抑制する働きも持ちますが、大腸の運動も抑制する作用もあります。

この作用により、特に黄体ホルモンが多く分泌される月経前の約2週間や妊娠初期は便秘になりやすくなります。

一方、月経が始まると下痢になりやすいのは、不要になった子宮内膜を排出するために子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質の影響です。プロスタグランジンは腸の動きを促進する作用があり、腸が動きすぎて下痢になります。

 

 

理由4:ダイエットの影響

体重を落とすことを重視するあまり食事量を減らすと、相対的に食物繊維や水分、脂肪分も減るため、大腸の運動にも影響がおよび便も硬くなるため便秘になります。

 

 

如何だったでしょうか?

このような4つの理由のため、もともと女性は便秘に悩みやすくなっています。

特に女性ホルモンの変化による排便への影響は大きく、初潮後の15~19歳以降に女性の便秘は急増します。

とはいえ、月経前の女性ホルモンの変化による便秘は、本来は一時的なものです。

そこに、ダイエットや生活習慣の乱れ、ストレスなどの外的要因が加わると、恒常的に便秘を起こします。

 

さらに、一時的な便秘の際に、いわゆる刺激性下剤で楽に排便することになれてしまったり、毎日便を出さないといけないと思い込み刺激性下剤を毎日連用するようになると、腸の蠕動運動の低下や便意の低下から排便力がさらに低下し、慢性便秘症へと移行してしまいます。

 

とはいえ、月経前の一時的な便秘は辛いときに週1~2回程度であれば、刺激性下剤や浣腸を使用して腸のリセットを行うのは問題ありません。

 

繰り返しになりますが、一時的な便秘の際に、楽に排便出来るからという理由で刺激性下剤を毎日連用したり、便は毎日出さないといけないものと思い込んで刺激性下剤を毎日連用するというのは絶対に避けましょう。

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。
2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。