おはようございます。
持病などがあっていくつか薬を服用している方が、便秘で悩んでいる場合は、実は普段服用している薬が原因かもしれません。
薬が原因で起こる便秘は薬剤性便秘といいます。
今回はどのような薬が便秘を起こす原因になる可能性があるかについてお話ししたいと思います。
薬剤性便秘を最も起こしやすい薬は、「抗コリン作用」という働きを示す薬剤です。
うつ病や精神病の治療薬、パーキンソン病の治療薬、アレルギーや喘息の治療薬などとして使われる一部の薬には、この抗コリン作用があります。
これらの薬は、高頻度に便秘を引き起こす可能性があります。
私たちの身体は、自律神経である交感神経と副交感神経で調節されています。
交感神経は興奮時や戦闘状態・緊張時に優位に働く神経で、副交感神経はリラックスした状態の時に優位に働く神経です。
この副交感神経の活動を活発にする体内の物質をアセチルコリンといいますが、このアセチルコリンの働きを抑えて、副交感神経の活動を抑える働きを「抗コリン作用」といいます
副交感神経が活発になると、腸は消化液の分泌を増やし、腸の動きも元気になり、食べ物の消化吸収が促進され、さらに排便も促進されます。
逆に交感神経が優位に働くと、消化液の分泌や腸の動きは悪くなり、便意は生じなくなります。
喧嘩している時は、食事をして栄養を吸収したり、トイレなんかに行っている場合じゃないというのをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
薬により抗コリン作用が働くと、副交感神経の働きが妨げられるため、消化液の分泌が抑制され、さらに腸の動きも悪くなるため、結果として便秘を招いてしまいます。
それ以外にも高血圧の治療薬、頻尿の治療薬や多汗症の治療薬、抗がん剤、胃薬、貧血の治療薬、吐き気止め、下痢止め、癌の痛みを無くす痛み止めとして用いる麻薬なども便秘の原因となることがあります。
ただし、このような薬を服用していると必ず便秘になるというわけではありません。
主治医の先生は、治療に必要な薬と判断して処方をしています。
便秘になるのが怖いから、便秘になったからといって勝手に服用を中止しないようにしましょう。
便秘が心配な場合やこれらの薬を服用していて便秘がある場合は、まずは主治医に相談をしてください。