おはようございます。
前回から胃カメラ検査がどんな検査なのかの簡単な解説を始めました。
前回は胃がん検診としての胃カメラ検査の歴史についてお話しました。
今回は、胃カメラ検査はどんな検査なのかについてお話ししたいと思います。
胃カメラ検査は、口や鼻からカメラ(内視鏡)を胃の中に入れて胃内を観察する検査です。
胃カメラを胃内に挿入する途中で通る食道や胃から出てすぐの消化管である十二指腸までカメラ(内視鏡)を挿入して直接、カメラからの画像を通じて食道・胃・十二指腸の粘膜の様子を直接観察することで、これらの臓器の粘膜面に炎症やがんなどの異常が無いかを目で見て調べる検査です。一般的な胃カメラ検査の所要時間は、5~10分程度です。
胃カメラ検査では食道・胃・十二指腸の粘膜面の異常の有無を観察するだけでなく、検査時に何か病気を疑う異常(粘膜面の異常やポリープなど)を認めた場合は、胃カメラ(内視鏡)から鉗子(かんし)という器具を出して異常が疑われる部位の組織を一部採取し、病理検査による精密検査まで行うことが可能です。組織を一部採取して病理組織検査まで行うことで見た目での主観的な診断だけで無く、細胞レベルで異常がないかをより詳細に検査可能です。
胃カメラ検査は、胃内にカメラ(内視鏡)を挿入することで行う検査ですが、胃内にカメラを挿入する際に通る通り道が口からなのか、それとも鼻からなのかによって2種類に分類されます。
口からカメラを入れて胃内を観察する胃カメラ検査を経口内視鏡検査といいます。
一方、鼻からカメラを入れて胃内を観察する胃カメラ検査を経鼻内視鏡検査といいます。
経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査の一番の違いは、カメラを挿入する際に通る通り道が異なる点とカメラ自体の太さが異なる点です。
経鼻内視鏡検査で用いるスコープの太さは、直径約5-6mm程度です。
これに対して、経口内視鏡検査に用いるスコープの太さは、直径約8-9mmと経鼻内視鏡検査のスコープと比べると約1.5倍の太さです。
経鼻内視鏡検査のスコープは細い鼻の穴を通らなければならないため、太さが細くなるというのは、皆さん容易に想像可能だと思います。
このように経鼻内視鏡検査のスコープは細いため、鎮静剤を使用しない検査の場合は経口内視鏡検査よりも楽に検査を受けることが可能です。
さらに、これに加えて経鼻内視鏡検査の場合、スコープは嘔吐反射を引き起こす原因となる場所である舌根部を通らず鼻から鼻腔を通って直接、食道にアプローチ可能なため、経口内視鏡検査に比べると検査中にオエッとならずに検査を受けることが可能です。
これだけ聞くと、口からの経口内視鏡検査よりも鼻からの経鼻内視鏡検査の方が楽そうだから、経鼻内視鏡検査で受ける方が絶対に良いじゃんと思わないでください!!
何のために胃カメラ検査を受けているのか?という点を絶対に忘れないでください。
「胃カメラ検査を楽に受けること」が胃カメラ検査を受ける本来の目的ではありません。
胃カメラ検査を受ける最も大切な目的は「食道がんや胃がんなどの病気を見落とし無く早期発見すること」です。
胃がん検診や人間ドックで胃カメラ検査を受ける多くの方は、胃の不調などの自覚症状がありません。
実際に胃カメラ検査を受けてもほとんどの方が何も異常がありません。
だから、ついつい検査を楽に終わらせることにばかり意識が向きがちですが、これは大きな間違いです。
繰り返しになりますが、「自覚症状も出ないような初期のがんを見落とすこと無く、早期発見できること」が胃カメラ検査を受ける上で最も大切な目的です。
経鼻内視鏡はスコープの直径が細いため、経口内視鏡と比べて高性能で高画質のカメラが搭載できません。もちろん最新鋭の経鼻内視鏡スコープには、経口内視鏡スコープと遜色ない画質のものもありますが、これらのスコープは非常に高価なため、導入している施設はほとんどないというのが現状です。また、経鼻内視鏡スコープには、病変部をズーム観察可能な拡大観察機能も搭載されていないため精密検査には適しません。
このことからも初期の食道がんや胃がんを早期発見するためには、経鼻内視鏡検査では無く、経口内視鏡検査で胃カメラ検査を受けることをオススメします。
福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院では、検診の胃カメラでも経口内視鏡を用いた胃カメラ検査のみを行い、より胃内を詳細に観察しています。
次回以降も胃カメラ検査を身近に感じてもらうため、どんな検査なのかについてお話ししたいと思います。
ご不明な点があれば、是非クリニックにご相談ください。