おはようございます。
当院は、福岡の中心地・繁華街である天神にあります。
周りにはいろいろなお店や会社・事務所が沢山あるのもあり、当院に来院される患者さんは20代~30代の比較的年齢層が若い方が多いです。
一般的には、年齢層が若い方の場合、胃がんや大腸がんなどのいわゆる悪性疾患に罹るリスクは低い世代ですが、年齢層が高い人以上に「胃が痛い」「胃が重い」「吐き気がする」「食事が全く食べれない」などの症状を訴えて来院される方が多い印象です。
いくら年齢が若くても症状がある場合には胃がんなどの怖い病気が隠れているケースもあり、若いからこそしっかりと怖い病気が症状の原因になっていないということを検査で調べて否定するのは大切です。
私が当院で働くようになり約3年ですが、残念ながらこの3年間で何人もの20代、30代の胃がんや大腸がんを見つけてきました。
最年少の方は、なんと21歳の胃がんの方でした。
早期がんではありましたが、悪性度の高いタイプの胃がんであったため、外科切除での治療となりました。
もちろん、早期発見・早期治療出来たため、一部胃を失う結果にはなりましたが、現在もお元気に過ごされています。
改めて、症状がある患者さんを年齢で若いから大丈夫といって検査も行わずに薬で様子を見ないで良かったと痛感した症例でした。
勿論、冒頭でもお話したように20代や30代で胃がんや大腸がんに罹る方は一般的には少なく、検査を行っても多くの方は異常がない場合がほとんどです。
「検査をしても異常がないのに、でもどうして症状があるの?」と思われたのではないでしょうか?
そこで、今回はこの年齢層が若い人に多い症状の原因に関して、簡単にお話ししたいと思います。
実は、病気というものは大きく2つに分類されます。
それぞれを器質的疾患と機能性疾患といいます。
器質的疾患とは、臓器自体に炎症や癌などの何らかの異常が発生しており、その結果として様々な症状が出現する病気や病態のことをいいます。器質的疾患は、臓器自体に異常がある結果として症状が出ているため、検査をすると必ず症状の原因となる異常が認められます。
機能性疾患とは、臓器自体には何も異常はないのに自覚症状だけがある病態です。
臓器それ自体には何も異常が起きていないため、検査を色々しても症状の原因となる異常はありません。
臓器自体には異常はないにもかかわらず、何らかの原因(多くの場合は、ストレスや疲れなどの自律神経の乱れ)でその臓器が人間の身体を維持するためにもともと行っている働きがバランスを崩し、臓器の働きが乱れることで症状が出現します。
何かに集中している時や寝ている時には症状が出にくかったり、ストレスや環境の変化で症状が良くなったり悪くなったりするのが特徴です。
若い方で自律神経の調節が苦手な体質の場合、生活習慣の乱れやストレスなどがきっかけとなり、胃の場合だと「胃が痛い」「胃が重い」「吐き気がする」「食事が全く食べれない」などの症状が出現します。
特に、胃腸は第二の脳と言われるぐらい、精神的なストレスの影響を受けやすい臓器です。
このため、生活習慣の乱れやストレスなど蓄積すると、一番最初に不調が出やすくなります。
とはいえ、あくまでも機能性疾患の診断は、検査で異常がなく、器質的疾患の可能性が否定できて初めて診断ができる疾患です。
そういえば、最近、ストレスや疲れが多いから、それが原因だろうと安易に自己判断して様子を見ないでください。
先程、お話した21歳の胃がんの方も、受診されたとき、「ストレスが原因かなと自分でも思ってるんだけど、症状が続くので心配で」と来院してくれ、検査を受けてくれたからこそ、早期発見・早期治療に繋がりました。
若い方の場合、確率的には悪性疾患に罹るリスクは低いですが、残念ながらその確率はゼロではありません。
若いからこそ、将来の安心のためにも、少しでも気になる症状があれば、早めに受診し検査まで受けましょう。
お腹の症状で悩んでいる場合は、一度お気軽にご相談ください。