おはようございます。医師の秋山です。
さて、今日は人工甘味料のお話です。
人工甘味料とは何でしょうか?
人工甘味料とは、人工的に、化学的に作られた甘味料です。人工甘味料は砂糖の数百倍も甘味が強く、かつ体内で消化吸収されないため血糖値が上昇しないのが特徴と言われています。
「血糖値が上がらないんだったら体に良さそう!」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、健康意識が高い方は、人工甘味料が入った食品は避けているケースが多いです。
人工甘味料の食品を摂り続けることで、逆に糖尿病になってしまうというデータがあります。
「Sugar-sweetened beverage and diet soda consumption and the 7-year risk for type 2 diabetes mellitus in middle-aged Japanese men」 European Journal of Nutrition 53,pp.251-258,2014
人工甘味料を摂りつづけた群は、摂り続けていない群と比べ、1.7倍も糖尿病になってしまったんです。
「え、なんで血糖値が上がらないのに糖尿病になるのよ?」と疑問に思った方いませんか?
実は、詳しいメカニズムはわかっていませんが、一般的に言われているのが、人工甘味料により、甘い味覚に慣れてしまい、より沢山の甘い物を食べてしまい、糖尿病になってしまう、というものです。
それとは別に、腸内細菌叢も関係しているのではないかと言われています。
2022年9月に出た論文ですが、人工甘味料を2週間摂取すると、腸内細菌叢が変化し、耐糖能が低下したとのことでした。
「Personalized microbiome-driven effects of non-nutritive sweeteners on human glucose tolerance」Cell VOLUME185,ISSUE18,P3307-3328,SEPTEMBER01,2022
私見ですが、おそらくこんなメカニズムで耐糖能が低下すると思われます。
糖質は一般的に空腸で消化吸収されますが、人工甘味料は空腸で吸収されませんので、そのまま大腸まで到達します。
大腸まで到達した人工甘味料が悪玉菌の絶好のエサとなり、悪玉菌が増え、腸の免疫バリア機能が低下し、悪玉菌が作る有害物質が腸から漏れ出て全身を巡り、各臓器でのインスリンの効き目を悪くして耐糖能が低下するのではないかと思います。
もちろん、人工甘味料は体に悪影響を及ぼさない、という考えもありますので、この議論は今後も続いていくと思います。
個人的な意見ですが、人工的に作られたものは、毎日摂取するのは避けた方が良いでしょうね。
以上、人工甘味料と腸内細菌の話でした。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。