福岡天神内視鏡クリニックブログ

機能性疾患って知ってますか?その4 機能性ディスペプシアを軽減する方法

おはようございます。
以前にもお話しましたが、機能性ディスペプシアは胃の上部の膨らみ不良、胃の運動機能異常、胃の知覚過敏(胃酸への感受性増加)の3つの異常が胃に起こるため症状が出現すると考えられています。

 

そこで今回は機能性ディスペプシアの症状を軽減させる方法に関して簡単にお話ししたいと思います。

上記の胃に対する3つの異常に対してアプローチしたり、これらの異常を引き起こす根本的な原因であるストレスに対する対処を行うと症状が軽減しやすくなります。

 

① 胃の上部の膨らみ不良・胃の運動機能異常に対するアプローチ
食べたものが消化されて胃から出ていくまでにかかる時間(胃内滞留時間)が長くなると胃の不快な症状が悪化します。

これを避けるためには、胃で消化されにくい食事をなるべく摂取しないようにするのが有効です。

胃内滞留時間はタンパク質、炭水化物、脂肪の順に長くなります。

脂肪分の多い天ぷらやビーフステーキなどは胃で消化されにくいため、胃もたれや吐き気の悪化の原因になります。

症状が強い場合には、胃の動きを改善させる消化管運動機能改善薬の投与を検討します。

 

② 胃の知覚過敏状態に対するアプローチ

治療には胃酸の分泌を抑える薬を投与しますが、胃酸に対する知覚過敏が症状の原因のため、少量の胃酸でも痛みが出てしまうため、薬で胃酸の分泌量を低下させても残念ながら症状は残りやすく、それほど効果は期待できません。
では、知覚過敏を改善させる方法はないのでしょうか?

感覚神経が過敏になっているのが症状の原因のため、この感覚神経を麻痺させてあげると症状が軽快します。

多くの人が意外と思うかもしれませんが、胃の知覚過敏を麻痺させるのには唐辛子に含まれるカプサイシンが有効です。カプサイシンには痛み刺激を感じる受容体であるTRPV1の反応を鈍らせる脱感作作用があるためです。

食事の時に唐辛子をひと振り摂取すると胃痛などの不快な症状を感じにくくなります。

唐辛子が苦手な場合はカプサイシンのサプリメントも有効です。

 

③ ストレスに対するアプローチ
機能性ディスペプシアの根本的な原因はストレスなどによる自律神経の乱れです。このため、胃の動きが悪くなり、また胃の知覚過敏も起こり、胃もたれや胃痛などの症状が出現します。

機能性ディスペプシアでは、症状自体もストレスになるため、それによりさらに症状が悪化するという悪循環に陥っています。休日はゆっくり休む、好きなことをして楽しむなど、ストレス解消に努め、根本的な原因を取り除くことが大切です。

 

④ 症状出現時に症状を緩和させるアプローチ
機能性ディスペプシアによる胃痛があるときには、腹筋を緩めてリラックスした状態で30分程度お腹を温めるのが効果的です。

横たわった状態でクッションなどを支えにして膝を曲げ、お腹の緊張を取り、お腹にブランケットを掛けたり、湯たんぽを当てたりして温めます。

膝を曲げ腹筋を緩めると、お腹の緊張がとけて血流が良くなります。お腹の緊張を取った状況で更に、お腹を温めるとより血流がアップし、痛み物質が血液とともに流れて滞らないため、痛みが軽快しやすくなります。また、胃への血流が増えることで、胃を保護する粘液が増加する効果も期待できます。

 

機能性ディスペプシアの症状で悩んでいるときには是非、これらも試してみてください。
機能性ディスペプシアでみられる症状は進行胃癌や逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症でも認められる症状です。このため、まずは検査で症状の異常が無いことを必ず確認するのが大切です。お悩みの場合は、一度お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。