福岡天神内視鏡クリニックブログ

「食べた方がよい食事」と「食べたい食事」について

おはようございます。医師の秋山です。

 

先日、大学の後輩が医師専門サイトに記事を寄稿していました。面白くて考えさせられる内容でしたので、皆さんにも共有したいと思います(以下要約)。

 

腹部の固形癌末期の男性患者さんの話です。

複数回に及ぶ腹部手術により、創部には腸管皮膚瘻(腸管と皮膚がくっついて交通している状態)となり、そこの感染を繰り返し、創部が治らない状態となっていました。

このためなかなか退院できず、入院が長引いた影響で段々と食事を取らなくなり、栄養状態も悪化していきました。

本人の訴えですが

「長期化する入院でやる気が起きなく、味の薄い病院食は受け付けない。」とのこと。

この先が長くないことを悟っているという本人の希望は、もう一度「ほか弁」の弁当が食べたいとのことでした。入院前に好んでよく食べていた弁当があるとのことです。

主治医に許可を取り、条件付きで「ほか弁」を食べてもらうことになりました。

すると少しずつ病院食のほうも食べるようになり、以前は拒否していた創処置のやり方も積極的に練習するようになったとのことです。

最終的には腸管皮膚瘻は完治し、自宅退院されました。

その後、彼は数ヶ月後に亡くなるのですが、亡くなる前に

「あの時に食べた「ほか弁」が生きる気力をくれた」と感謝していたとのことです。

 

いかがだったでしょうか。

 

私はこのブログやYouTubeの動画で「あれを食べた方が良い、これは食べない方が良い」といった情報を提供しています。

それはそれで間違ったことではないのですが、個々人において、その時の状況によっては、必ずしも「食べた方がよい食事」が正解ではないということも頭に入れておかなければいけません。

 

私は2年前にライザップで「マッスルゲインプログラム」を2カ月間体験しました。

そこでは厳しい食事制限が課せられます。その2カ月間は毎日の食事が全く楽しくなく、むしろ食事の時間が苦痛すら感じていました(そのおかげで筋力はつきましたが)。

その時に痛感したのは、いかに「食事」というのが日々の生活において精神的にも肉体的にも重要なものであるかということです。

 

毎日食べているものが、未来の自分の健康を作るのは確かです。自分が好きなものや体に悪いものばかり食べていると、将来必ず病気になります。

ただ、それだけはダメな時がある。。。医療は難しいです。

 

極論すると、健康に良い食事は基本的に美味しくないです。

ただ、それをどうやって美味しく食べるのか、そこを考えるのが我々医療従事者の使命だと考えています。

 

ヘルシーだけど美味しい食材がないか探してみたり、美味しいレシピを考えてみたり、時にはチートデイを入れて、好きなものを自由に食べてみたり、色々とできることがあります。

 

まだまだ勉強しなければいけないことが沢山ありますね。これからも皆さんの健康の役に立てるような医療情報を提供していきたいと思います。

 

いつものようにスタバに行きました。バナナクリームドーナツです。バナナクリームがドーナツの中に入っています。バナナ好きにはたまりませんね。

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。