福岡天神内視鏡クリニックブログ

感染性腸炎➀

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

汗ばむ陽気となってきました。

日に日に夏の足音が聞こえてきます。

 

さて、今回は
「感染性腸炎」についてお話ししたいと思います。

 

 

「感染性腸炎」

病原微生物がヒトの腸管内に侵入、定着、増殖して発症する疾患であり、ほとんどの場合に下痢がみられます。

病原体には細菌、ウイルス、寄生虫などがあります。

細菌・ウイルスによる感染性腸炎は増殖する腸管の部位により、小腸型と大腸型に大きく分類され、罹患部位により潜伏期、症状などがある程度決まります。

多くは食品や汚染された水による感染(食中毒)ですが、ペットやヒトからの接触感染もみられます。

一般的には、夏季には細菌性腸炎が、冬から春にかけてはウイルス性腸炎が多く発生します。

 

「食中毒」は、

食品などに含まれた病原微生物、化学物質、自然毒などを摂取することによって発症する疾患です。

食中毒は、一般的に同一の食品によって複数の患者が集団発生した場合を指します。

食中毒の原因となる微生物は多くは細菌です。

細菌による食中毒は感染型と毒素型に分類できます。

毒素型食中毒は産生された毒素を含む食品による中毒であり、厳密には感染性腸炎とはいえません。

 

感染性腸炎の分類

1)散発性下痢症

夏季には細菌が、冬季にはウイルスが主な原因です。

細菌ではカンピロバクター、サルモネラ、腸管病原性大腸菌などが多く、ウイルスではノロウイルス、ロタウイルスが多くみられます。

 

2)旅行者下痢症
旅行者の30~80%が感染し、その発生頻度は渡航地域により異なり、本邦では東南アジアが最も多いです。

原因菌として腸管毒素原性大腸菌が最も多いです。

 

3)抗菌薬関連性下痢症

抗菌薬により、腸内細菌腸の菌交代現象がおこり、抗菌薬に耐性のある菌が異常増殖して下痢を生じます。

クロストリジウム ディフィシルMRSAクレブシエラ オキシトカなどが原因菌として知られています。

 

4)性感染症

性行動様式の変化により出現した感染性腸炎です。

赤痢アメーバ感染症が代表疾患であり、本邦では、その80%が性行為による感染症と考えられています。

 

5)食中毒・集団発生

原因として細菌ではカンピロバクターやウェルシュ菌が多く、ウイルスではノロウイルスが最も多いです。

ノロウイルスは、食中毒統計では最も多い食中毒の原因です。

 

6)院内・施設内感染

院内や施設内で起こる集団発生です。

ノロウイルスなどの市中感染症以外に、クロストリジウム ディフィシル感染症、MRSA腸炎、アメーバ赤痢感染症などがみられます。

 

次回は、「感染性腸炎の症状や潜伏期間、治療」について解説したいと思います。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。