福岡天神内視鏡クリニックブログ

遺伝性の胃がんとは

みなさんこんにちは。

萱嶋です。
ようやく少し涼しくなってきました。

 

お彼岸の時期ですが、皆さんはご先祖様にご挨拶はしましたか。

私は先日、妻とともに参ってきました。

 

さて、今回は「遺伝性の胃がん」についてです。

正確には

「遺伝性びまん性胃癌」

といいます。

以下、概説していきます。

 

 

【特徴】

遺伝性びまん性胃がんは、

生涯のうちに胃がんを発症する可能性が高い遺伝性のがんです。

遺伝性びまん性胃がんにおける胃がんは「低分化腺がん」に分類され、明確な腫瘤は形成されず、がん細胞が胃壁に浸潤し、粘膜下で増殖することで、胃壁肥厚を引き起こすという特徴があります。

遺伝性びまん性胃がんでは、乳がん(乳腺小葉がん)、前立腺がん、大腸がんなど、胃がん以外のがんを発症するリスクが高い人もいます。

遺伝性びまん性胃がんと診断された患者さんは、多くの場合、これらの関連のがんを発症した人が家族にいます。

遺伝性びまん性胃がん関連のがんは、50歳より前に発症することが多いとされています。

遺伝性びまん性胃がんの胃がんは、

胃がんの1%未満であると推定されています。

通常、成人以降に発症し、好発年齢は30代後半~40代前半です。

大部分は40歳以前に発症、80歳までの胃がんの累積リスクは男女ともに80%と推定されるとのことです。

CDH1遺伝子の病的バリアントによる遺伝性びまん性胃がんは、常染色体優性遺伝形式で遺伝します

子どもが遺伝性びまん性胃がんとなる確率は50%です。

 

【診断】

遺伝性びまん性胃がんは次の1、2のいずれかの場合と定義されています。

1. 一度近親者(両親、兄弟姉妹、子ども)または二度近親者(祖父母、叔父・叔母、おい・めい、孫)において、50歳以前にびまん性胃がんと診断された患者が2人以上いる

2. 一度近親者または二度近親者において、3人以上のびまん性胃がん患者がいる。発症時の年齢は問わない

分子遺伝学的検査も行うことがあります。

 

【治療】
遺伝性びまん性胃がんと確定診断された場合、予防的胃全摘術が推奨されます。

 

遺伝性びまん性胃がんは、初期の段階では内視鏡検査で発見されにくいことがあります。
消化器内視鏡に精通したクリニックで、検査を受けましょう。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。