福岡天神内視鏡クリニックブログ

激烈な腹痛

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

2024年が始まりました。

新しい年が始まると何だか清々しい気持ちになりますね。

 

前回は急性腹症について述べました。

急性腹症で、消化器以外が原因である病気も数多くあります。

尿路結石もその一つで、日常診療で数多くみられる疾患です。

 

 

尿路結石とは

尿成分の一部が析出・結晶化し、これらが集合・沈着・増大し、結石として尿路(腎~尿道)内にとどまったものと定義されます。

 

概論
尿路結石は、近年増加傾向にあり、日本人が生涯のうちに結石になる確率は、約10%との報告もあります。

上部尿路結石(腎・尿管)が95%以上を占めています。

下部尿路結石(膀胱・尿道)は、上部尿路結石の膀胱への落下や、前立腺疾患や神経因性膀胱などによる下部尿路の通過障害や尿路感染が原因となります。

性別では青・壮年期の男性に多く、患側に左右差はなく、10~20%が両側性です。

 

成因
尿路結石の成因として、

①代謝異常(尿酸代謝異常;痛風・高尿酸血症、シュウ酸代謝異常、カルシウム代謝異常、シチスン代謝異常等)

②尿路の通過障害

③尿路感染

④水分の摂取不足

⑤偏食・過食

⑥内分泌異常(高Ca血症を来たしやすい原発性副甲状腺機能亢進症、Cushing症候群)

⑦長期臥床

⑧結石の家族歴

があります。

 

症状

特に臨床症状もなく、経過することも多く見られます。

腎盂から尿管の結石の場合は、腰背部~下腹部の発作性(急に発症する)激痛・血尿がみられます。

腰背部の叩打痛もみられます。

疝痛発作の際、悪心・嘔吐・冷汗・腹部膨満・顔面蒼白などの自律神経症状を伴う事も多くあります。

私も尿路結石を経験したことがありますが、やや左の下腹部が急に激烈な腹痛に襲われました。胃腸の炎症かと思いましたが、尿路結石でした。

発作性(急に発症する)の下腹部の激痛は、尿路結石かもしれません。

 

治療

保存療法

①疼痛対策(鎮痙剤、鎮痛剤;ボルタレン坐薬)

②自然排石促進
一般に10mm以下の(特に5mm以下)の場合、尿と一緒に自然に排泄される可能性があります(1日尿量が2L以上になる様に水分摂取と縄跳び等の適度な運動)。

手術療法

①体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

②内視鏡的治療(経皮的腎砕石術 PNL、経尿道的尿管砕石術 TUL)
内視鏡的膀胱レーザー光線粉砕術

 

再発予防

腎結石の再発率は約60%と高く、再発しても小さいうちに、水分を十分取って、適度な運動をして、洗い流すことが肝要です。

尿酸結石;高尿酸血症を予防するプリン体の多い食事の制限

シュウ酸結石;ナッツ、ほうれん草、チョコレート、紅茶、タケノコの制限

 

尿路結石について述べました。
発作性(急に発症する)の下腹部の激痛は、尿路結石かもしれません。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。