福岡天神内視鏡クリニックブログ

乳がんの胃転移

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

2024年が始まり10日経ちました。

皆さんはどういった1年にしたいですか。

私はまだ決めていません。

 

みなさんは、転移性腫瘍をご存じですか。

転移性腫瘍とは、別の場所にできたがんが、ある臓器へ転移して発育したものをいいます。

胃にも同様に他臓器のがんが転移することがあります。

 

本邦からの全悪性腫瘍の剖検例では、4~5.9%に胃転移を認めたと報告されています。

癌種別の割合を検討したものでは、高い順に

悪性黒色腫(29.6%)、乳癌(11.6%)、食道癌(11.5%)、肺(6.8%)、甲状腺(6.4%)と報告されています。

胃の転移性腫瘍の中で、乳がんが比較的多いことがわかります。

 

今回は、「乳がんの胃転移」についてお話いたします。

 

 

乳がんの胃転移

 

症状

腹痛、食欲不振・腹部不快感、嘔気・嘔吐、消化管通過障害による狭窄症状、吐血・下血などがあります。

なお、 46.4%が無症状であったいう報告もあります。

 

乳がんの組織型

組織型は、浸潤性小葉癌が69.1%、浸潤性乳管癌21.1%と報告されています。

胃転移した乳がんの組織型は浸潤性小葉癌が最多です。

 

乳がんの胃転移は、

乳癌診断後から数年経過して発見されることもあり、中には乳がんの診断後22年を経過して胃に転移した症例も報告されています。

乳がんの既往歴がある場合は、年単位の経過であっても胃を含む消化管に転移が起こることがあります。

乳がん、特に浸潤性小葉癌と診断された方は、1年毎に上部消化管内視鏡検査を行うことが肝要です。

 

また、乳がんの胃転移の診断には生検による病理組織学的検査が必須ですが、事前に乳がんの既往の情報がなければ、通常の胃がんと見誤ることがあります。

乳がんになったことがある方は必ず、事前(内視鏡検査前)に主治医に伝えてください。

 

今回は、転移性腫瘍、特に乳がんの胃転移について述べました。

乳がんと診断されたことがある方は、上部消化管内視鏡検査もきちんと受けましょう。

癌にならない腸活 実践メルマガ講座 乳酸菌バナー 内視鏡チャンネルバナー

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。