おはようございます。医師の秋山です。
さて、今回も生活習慣と腸内環境の関係について解説したいと思います。
今回は、運動と腸内環境の関係についてです。
運動すると、なんとなく腸内環境が良くなるようなイメージがありませんか?
全くその通りです。
一般的に、運動が腸内細菌の多様性を増加させることは様々な研究で立証されているのですが、善玉菌が産生する短鎖脂肪酸の濃度も高くなることも言われています。
これは、腸内細菌が、運動後に体内に蓄積する乳酸を利用して短鎖脂肪酸を産生していると考えられているからです。
Scheiman J,et al:Nat Med,25:1104-1109,2019
「いやいや、運動が影響しているのではなく、運動するような健康意識の高い人は、食事にも気をつけているから腸内環境が良いんだよ」
と反論する意見もありますが、食事と運動はそれぞれ独立した要因として腸内環境に影響を及ぼすという報告があるんですよね。
Sonnenburg ED &Sonnenburg JL:Cell Metab,20:779-786,2014
また、運動すると、筋肉から様々なホルモンが分泌されます。その数はなんと30種類以上あると言われており、これらのホルモンをマイオカインと呼んでいます。
そのホルモンの中でも、SPARC(Secreted Protein Acidic Rich in Cysteine、スパーク)は、大腸がんを予防することで有名です。
Aoi W et al:Gut 62: 882-889,2012
運動は、私たちの生活習慣の中で唯一「ほぼ確実に大腸がんのリスクを下げる」と言われています。ここまで断言されているのは運動だけです。
具体的には、軽く息があがる程度の運動を1日約30分程度、週3回行うと良いと言われています。
確かに、アスリートの腸内には善玉菌である酪酸菌が多いという報告もありますので、やはり運動はしないよりもした方が絶対良いです。
運動不足の方って結構多いと思いますが、30分程度のウォーキングで良いので始めてみてはいかがでしょうか。
以上、運動と腸内環境の関係について解説しました。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。