福岡天神内視鏡クリニックブログ

炭水化物を摂りすぎていませんか?

こんにちは、医師の中島です。

 

前回まで炭水化物(糖質+食物繊維)が胃痛の原因になりうるという内容をお伝えしてきました。

今回はそこから派生して炭水化物、特に糖質の摂りすぎは脂肪肝の原因にもなりうるというお話です。

 

現在、日本人の成人の3人に1人が非アルコール性脂肪肝と推定されています。お酒をほとんど飲まない、太ってもいない、自覚症状もない。それにもかかわらず脂肪肝と診断される人は少なくありません。

日々の診療でも腹部エコー検査で脂肪肝と診断される方は非常に多く、年齢問わず20-30代の若い方にも多くみられます。

脂肪肝を放置すると、自覚症状もないままに脂肪肝炎を経て肝硬変や肝がんへと進行し、最悪の場合、死に至ります。さらに脂肪肝は、糖尿病や脳血管障害、高血圧など生活習慣病のリスクを高めることもわかっています。脂肪肝は命に関わる病気のスタート地点なのです。

これまで肝硬変や肝がんの原因は肝炎ウイルスとアルコールが9割以上を占めていました。ところが、いま急増しているのが、原因がアルコールでもウイルスでもない脂肪肝炎であるNASH (非アルコール性脂肪肝炎)です。今後10年以内に、NASHが肝臓病における死亡原因の第1位になると予測されています。こわいですよね。

脂肪肝を指摘されると、多くの患者さんが「お酒は飲まないのに、なぜ」と驚きます。肝臓に負担をかけている自覚がないのです。肝臓を傷めるのはアルコールだけではありません。実は、糖がお酒と同等のダメージを与えているのです。

では、なぜ糖が肝臓に悪いのでしょうか。

糖質は私たちが活動するための大切なエネルギー源です。しかし、摂取のしかたによっては肝臓への毒性が大きく高まります。

原則として、糖質は精製されるほど毒性が強くなります。例として、砂糖が肝臓に与える影響について説明します。

精製糖質の代表である砂糖は、サトウキビやテンサイから不純物を取り除き、真っ白に精製したものです。砂糖はブドウ糖と果糖が1対1の割合で結びついてできています。

ブドウ糖の約8割はあらゆる細胞のエネルギーとして利用されます。肝臓内で代謝されるのは残りの2割。代謝の限界を超えて摂取すると、中性脂肪として肝臓にため込むことになります。

一方、果糖を代謝できるのは肝臓だけ。同じ量のブドウ糖と比較すると、果糖が肝臓にかける負担は5倍にもなるのです。処理能力を超えた果糖はやはり中性脂肪に変換され、肝臓の細胞一つ一つにたまります。まるでラーメンスープに浮かぶ油のように、肝細胞の中に脂肪のしずくがたまっていくのが脂肪肝という病気です。

次回は糖質の摂りすぎによる脂肪肝の改善策についてお話していきます。

 

週の中日ですね、一息ついて後半もがんばっていきましょう。

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