こんにちは、医師の秋山です。
今回は、診察時に相談の多い「胃の調子」についてお話ししたいと思います。
「胃もたれする」
「あまり食事が多く食べられない」
「酸っぱいものが上がってくる」
といった経験はないでしょうか。
一時的な症状であれば、問題ありません。
でもいつまでたってもなかなか症状が取れないときに、
「何か胃に悪いものができてるんじゃないか」
とふと心配になってくるかもしれません。
重い腰を上げて、胃カメラを受けてみます(キツイから受けない人も多いですが)。
その結果、「特に悪いものはありませんでしたよ」を言われた経験もある思います。
このように言われると、そうか胃がんや胃潰瘍はなくて安心した。検査を受けて良かったと思えると思います。
でも、一方で「じゃあ、この胃の不調は何なのだろう?」という疑問だけが残るかもしれません。
胃カメラを受けなかった人は、胃はブラックボックスになってしまい、不安感だけが募ってくるかもしれません。
ますます胃が痛い気がしてきます。。。
「胃」は不思議な臓器で、ただ食べ物の消化をしているだけではなく、脳からの指令を受けて簡単に動きが左右されます。
★胃の調子が悪い原因は、一言でいうと「消化の悪さ」になります。
「消化が悪い」から、胃が気持ち悪かったり痛かったりするのです。
でも「消化が悪い」って医学的にはどういうことなんでしょう。
最近の知見では胃の不調は、「胃の蠕動運動の低下・不全」によるものと言われています。
胃がきちんと動いていない、働いていないということです。
動かない理由は、「胃の知覚過敏」ではないかと考えられています。
歯の知覚過敏は有名ですが、胃や腸にも知覚過敏があると言われています。
胃が広がろうとすると、脳が「痛い・不快だ」と過敏に感じてしまうので、胃は遠慮してしまい広がりません。
それが長いこと続くようになると、胃もいつしか広がらないことが当たり前になってしまいます。
これが「慢性的に胃の調子が悪い」人の特徴です。
自分は若いころから胃が弱い、と思っている人がいると思います。
その胃の弱さの原因は、正体不明ではなくなってきました。
気のせいや神経性胃炎、と泣き寝入りしなくてもよくなってきたのです。
「胃の動きの悪さ・胃壁の知覚過敏がある」と知ること。
胃がずっと調子悪くて悩んでいた人には、この考えはとても納得がいくものになります。
症状が治るのかというと、胃の知覚過敏が取れてくると脳が不快感を感じなくなり、胃が「きちんと広がっていいのだ」という本来の感覚・胃の動きを取り戻します。
そうすると「今までの症状って何だったのだろう?」と驚くくらいに良くなることがあります。
脳が胃腸を支配するのではなく、胃腸が脳を支配できる(脳をだませる)可能性があります。
個人的には「胃腸の働きと脳との相関関係」は興味深く、これからは胃腸から脳に働きかけることで、全身の症状がよくなるかもしれないと期待しています。
胃と腸はつながっているので、胃の調子が良くなると便秘や下痢までよくなることがあります。
「胃腸が弱い」とあきらめないで、一度「胃腸活」に取り組んでみるのはいかがでしょうか?