こんにちは、医師の秋山です。
今回は「のど」の症状についてお話しします。
風邪を引いてのどが痛い、ということではなく、慢性的にのどの調子が悪い場合です。
なぜ私が「胃」でなく「のど」の症状を診るのかというと、耳鼻科でのどにできものがなかった時に胃カメラを受けるように勧められる人が多いからです。
どんな症状があるか聞いてみますと、
〇 「何となく」のどにつっかえている感じが続いている
〇 「何かが」のどにずっとある
〇 食べ物が飲み込みにくい
といいます。
耳鼻科で「逆流性食道炎」があるかもしれない、と言われて来院されるのですが、胃カメラをすると明らかな食道炎(ただれや炎症)を認めることはほとんどありません。
やっぱりのどにポリープや腫瘍もできていません。
食道炎の薬(胃酸を抑えるくすり)が出ている場合がありますが、それでもあまり良くなることがないのが特徴です。
症状が改善せずに困っている方に、私は
「のどや食道・胃の知覚過敏が強いかもしれないですよ」
と話しています。
胃の”知覚過敏”のことを前回書きましたが、のどや食道にも”知覚過敏”があります。
気にならない人には全く問題ないことなのですが、過敏な人にとってはとても不安になるものです。
気にすれば気にするほどのどの知覚は研ぎ澄まされてしまい、咳払いするとますます詰まりがひどくなることもあります。
えてして身体の知覚は、鈍感なくらいが丁度よいのではないかと思っています。
私はこのような厄介な症状に、「半夏厚朴湯」という漢方を出すことがあります。
私は漢方の専門家ではないので、詳しい作用機序は分かりませんが、
「体調を整えることで、のどや消化管の知覚を和らげてあげることができる」と理解しています。
不安や心配があると症状が出やすかったり、ひどくなったりするので、一度不安をとってあげることで、知覚過敏の負のスパイラルを脱することが可能になります。
「のど」の症状の良くなる方ですが、これも不思議な治り方をして、
〇 そう言われてみれば、のどのことをあまり気にすることがなくなりました
といいます。
しっかり検査を受けて、悪いものができていなかった場合は、漢方を使ってみるのも1つの手だと思います。