福岡天神内視鏡クリニックブログ

B型肝炎とC型肝炎について

おはようございます。医師の秋山です。今日は肝臓の話をします。

私の故郷である佐賀県、そして福岡県は全国でも有数のB型肝炎、C型肝炎の罹患率が高い地域です。なぜ高いかというと、筑後川流域では以前、風土病が流行し、その治療として注射薬の回し打ちをしていました。この回し打ちにより肝炎ウイルスが人から人に感染したのではないかと言われています(諸説あり)。

B型肝炎、C型肝炎の感染経路は血液を介します。具体的には、1992年以前に輸血をした方、注射の回し打ち、カミソリの共同利用、入れ墨、不特定多数の性交渉が主です。母子感染はワクチンの効果で現在はほぼありません。しかしながら感染経路が分からないけど感染している方も約4割ほどいます。怖いですよね。

B型肝炎の血液が体内に入った時にB型肝炎に感染する確率が30%、C型肝炎の血液が体内に入った時にC型肝炎に感染する確率が3%と言われています。ちなみにHIVは0.3%です。30%、3%、0.3%、覚えやすいですね。B型肝炎は感染率が高いため、医療従事者はB型肝炎ワクチンを接種しています。C型肝炎ワクチンは残念ながらありません。

さて、このウイルス性肝炎は非常にやっかいな病気です。普通、風邪などのウイルス感染は一過性感染であり、完全治癒してしまいますが、肝炎ウイルスは一度感染すると肝臓内にいつまでも留まり、住み着いてしまう場合があります。住み着いたまま何もせずにじっとしてくれるなら問題はないのですが、自分の住み家である肝臓をチクチクと痛めつけ、やがて肝硬変へと変化させます。そしてついには肝臓に癌まで作ってしまうのです。肝臓癌による死亡率は、福岡県が全国第3位、佐賀県は19年連続全国1位となっています。

ウイルス性肝炎は、なにか自覚症状があればいいのですが、残念ながらほとんどありません。
C型肝炎だけ考えても、全国に約200万人いると言われていますが、自分がC型肝炎と自覚し、医療機関で治療を受けている方が約50万人です。つまり、150万人の方が感染していることを知らずに過ごしている可能性があります。

これだけ書くと恐ろしい病気だと思われますが、B型肝炎もC型肝炎も現在は飲み薬でほとんどが体内から消えてしまい、肝硬変や肝癌を防ぐことができます。国から治療費の補助もあります。

B型肝炎、C型肝炎の検査は健康診断で調べることが可能です。是非一度受けてみてくださいね。

私も健康診断で定期的にチェックしています。HBs抗体(+)は、ワクチンの影響です。この抗体があると安心です。

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