福岡天神内視鏡クリニックブログ

ストレス社会を生き抜く最強ホルモン ~オキシトシンと加味帰脾湯の関係

おはようございます。医師の秋山です。

私は先日、漢方の勉強会に参加してきました。

今回は、著名な先生方から教わったことを書きたいと思います。

私がいま興味を持っていることは、「腸の時代」「脳腸相関」「フコイダン(水溶性食物繊維)」です。

今年になり、あるホルモンの驚くべき効果が注目されるようになりました。

そのホルモンの名は、「オキシトシン」と言います。

私が学生時代に習った「オキシトシン」の役割は、

●妊娠末期における子宮筋の収縮と陣痛促進作用

●授乳期の乳腺の収縮(射乳反射と言います)

でした。最近分かりだしたオキシトシンの効果に私は驚愕しました。

実は、すでに2016年6月に「ためしてガッテン」で「オキシトシンの癒し効果」が良いのではないかと紹介されていたそうで、私は知りませんでした。

現在オキシトシンは「癒しホルモン」「愛情ホルモン」「幸せホルモン」として、注目されるようになりました。

男性でもオキシトシンは分泌されています。

具体的な効果としては、

●食欲不振を改善する

●急性・慢性疼痛を軽減することができる

さらに最近では、

●不安を改善する、リラックスできる

●「信頼」や「絆形成」といった社会性行動を向上させる

これは、自閉症の方に対する「コミュニケーション能力改善」や「社会的信頼の向上」が報告されています。

それだけではなく、

●うつ病に効果がある

●疲労が感じにくくなる

●不眠症を改善する

●難治性の慢性的な便秘(お腹の張りや残便感)を改善する

●大腸がんを抑制する

とまで報告されるようになりました。

とかくストレス社会で交感神経が優位となっている方に、副交感神経を強くすることができます。

すると失われかけていた母性行動を取り戻し、活動量も増加します。

腸内環境が良くなるわけではないようですが、自律神経に支配されている胃腸の「痛み」や「張り」の改善に期待できそうです。

これだけ聞くとオキシトシンは、万能な効果のホルモンのように思えてきます。

逆に言うと、上記のような症状がある方は、「オキシトシンの分泌が少ない」ということもできるでしょう。

「そんなことならば、早く言ってよ!」という気持ちになるかと思いますが、これは最新の知見です。

 

ではどのようにしたら、オキシトシンの分泌を上昇させることができるのでしょうか?

●「タクティールケア」

これはスウェーデンで生まれた、「柔らかく包みこむようにゆっくり触れるマッサージ」です。

誰かにしてもらうだけでなく、タクティールケアをしてあげる方も、オキシトシンの上昇が確認されています。

 

「1日8回のハグ」

日本人にとっては少し恥ずかしい行動ですが、抱き合うことでオキシトシンの分泌が上昇します。

同時に他の幸せホルモンである「セロトニン」も上昇し、ストレスホルモンである「コルチゾール」を減らすことができます。

ストレスホルモンである「コルチゾール」は、ダイエットの大敵でしたね。

 

●食事

これは「何を食べるか」ということではなく、「誰とどんな風に食べるか」が大切だそうです。

 

愛する人と抱き合う、手をつなぐ、食べ物をシェアすることが、オキシトシン分泌上昇のカギになりそうです。

愛する相手が近くにいる時に、さっそくお互いに始めてみるのはいかがでしょうか。

 

では、相手がいない人はどうしたらよいでしょうか?

リラックスできる音楽を聴いたり、のどかな風景を眺めたりすることでも、オキシトシンの分泌を上昇させることができます。

毎朝いつもよりも30分早く起きて、コップ1杯の水(または白湯)を飲んで、ゆっくりした時間を過ごす」ことが自律神経を整えると、順天堂大学の小林先生が話していました。

ちなみに小林先生の便秘外来は、4年待ちだそうですよ。

また、「加味帰脾湯」という漢方には、消化機能を高め、精神を安定させる生薬がうまく配合されています

加味帰脾湯が人間のオキシトシンシステムに働きかけて、ストレスへの抵抗力を強めてくれる可能性がある、とのことです。

まだまだデータの蓄積が必要とは思いますが、私は今後オキシトシンが注目される時代が来るような気がしています。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。