こんにちは、医師の秋山です。
今回は「大腸がん」について書きたいと思います。
実は日本では、大腸がんが激増しています。
日本人男性では、2013年にがんにかかる人の部位で「大腸」が第1位になりました。
日本人の女性では、2013年にがんで亡くなる人の部位で「大腸」は「胃」を抜いて第1位になりました。
ちなみに女性で「乳房」は増加していますが第4位、「子宮」は横ばいで第6位です。
どうしてこれほどまでに大腸がんは増えているのかというと、食生活の変化が原因であると言われています。
具体的には「食生活の欧米化」が原因と言われ、乳製品や赤身肉・加工肉(ハムやソーセージ)を食べることが多くなったからだと言われています。
私は乳製品や肉を食べることは多くなっても、欧米人に比べると食べる量は多くないと考えています。
それよりも大腸がんが増えて心配しているのが、「和食を食べなくなったこと」だと思っています。
味噌汁や漬物、豆腐や納豆などの発酵食品を食べることが明らかに減っているのが、日本人で大腸がんが増えている原因ではないでしょうか。
ところで、もとより欧米人は大腸がんの罹患率・死亡率が減少しているようです。
なぜだと思いますか?
これは、大腸カメラを受ける人が以前より多くなったためだと言われています。
では、なぜ大腸カメラを受けるだけで大腸がんが減少するのでしょうか?
これは他の臓器と「がん」のでき方が違うためです。
一般的ながんのでき方は、
・・・【異常なし】から→→→【前触れなく「がん」が内視鏡やCTで表れる】
ようになります。
厳密には内視鏡やCTで見えるようになる以前にがんができ始めているのですが、これを「いきなりがんができる」としましょう。
いきなりがんができるので、胃カメラは1年に1回は受けて、胃や食道にがんができていないかパトロールしておく必要があります(一部例外があり腺腫から胃がんになります)。
肺や膵臓などは1年に1回はCTでミリ単位のがんができていないか見張っておくことが、早期がんで見つける(生存できる)コツになります。
では、大腸はどうでしょうか。
・・・・【①大腸ポリープができる】→→→【②大腸ポリープが大きくなる】→→→【③大腸ポリープが大腸がんになる】
という段階を踏むことが大部分です。
このように「がん」のでき方は大腸だけです。
つまり①や②の段階で大腸カメラを受けていれば、大腸がんにならなくて済むのです。
大腸カメラの優れた点は、このようにポリープを直接発見できるだけでなく、そのまま治療して大腸がんの前段階であるポリープの状態で切除できることです。
大腸カメラを受けるだけで大腸がんを予防できるから、欧米人が大腸カメラ受診率が増えて大腸がんが減ったと考えられます。
日本人で大腸がんが激増していることは、大腸カメラがまだまだ普及していないからだと思います。
それでも大腸カメラはキツイから、下剤を飲むのがキツイからと敬遠してしまうことは分かります。
でもせっかく「最もかかりやすいがんが予防できる」のですから、一度受けてみる価値はあります。
大腸カメラは初回がとても大切です。
検査してよかったと思って頂けるよう当クリニックでは、患者様の苦痛に配慮した検査を心がけています。
検査を受けたことが無い方だけでなく、他院での検査がキツかった方も一度ご相談ください。