福岡天神内視鏡クリニックブログ

ヘリコバクター・ピロリ菌って知っていますか?

おはようございます。
コロナウイルスも怖いですが、皆さんは胃癌の原因になると言われているヘリコバクター・ピロリ菌はご存知でしょうか?

この菌は、5歳未満で口から感染しますが、成人はほぼ感染しません。日本人全体の約50%が感染していると言われていますが、感染に幼少期の衛生環境が影響しているため、感染率は高齢者ほど高く、若年者は低い傾向があります。

一度感染すると、ほぼ半永久的に体内に存在し、慢性活動性胃炎という胃の持続性炎症を引き起こします。この慢性活動性炎症は、ほとんど自覚症状がなく、感染していることに全く気づかないのが怖いところです。

感染を放置すると胃にピロリ菌による持続炎症が起こり、胃の粘膜が萎縮するため、胃癌が発生しやすくなると言われています。
日本人の場合、ピロリ感染者の胃癌のリスクはピロリ未感染者の10倍以上と報告されています。また、胃癌患者の90%以上はピロリ菌に感染していたという報告やピロリ菌感染者は80歳までに20人に1人の確率で胃癌になるとの報告もあります。
その他、胃・十二指腸潰瘍、MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病や鉄欠乏性貧血などの原因にもなると言われています。

自覚症状が乏しいため、自ら進んで検査を受けないと残念ながら感染しているかどうかは分かりません。
検査陽性の場合は、胃カメラ検査を受けて胃癌が無いことを確認した後、除菌加療を行うことを強くお勧めします。

ただし、検査陰性であっても、それだけでは安心できません。なぜかというと、ピロリ菌による慢性活動性胃炎が強く、胃粘膜の萎縮が非常に進行した場合は、ピロリ菌が胃に生息できなくなり、菌が消失または減少し、検査陰性となることがあるからです。

このため、検査陰性の場合も1度は胃カメラ検査を受けて、実際に胃粘膜に萎縮が無いかどうかを調べることをお勧めします。

胃癌は早期発見すれば、根治が目指せる疾患です。
10年後20年後の安心のためにも検査を受けることをお勧め致します。お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。