福岡天神内視鏡クリニックブログ

大腸粘膜のその黒ずみ大丈夫!?

おはようございます。
以前に便秘シリーズとして「便秘と刺激性下剤」について刺激性下剤の危険性についてお話しました。

https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/blogpage/2020/05/07/6681/

大腸カメラを行うと腸への下剤の影響とその危険性が分かることがあります。
正常な大腸粘膜はきれいなピンク色をしています。しかし、長年、便秘で刺激性下剤や漢方薬を連用していたり、便秘に効果があると謳っている健康食品やお茶などを摂取している患者さんの大腸粘膜はヒョウ柄の様に黒ずんでいることがあります。
この黒ずみを「大腸メラノーシス」と言います。


海外の研究によれば、センナやダイオウ、アロエなどの成分を含む刺激性下剤などを4ヶ月程度毎日服用すると大腸メラノーシスになると報告されています。
皮膚の黒ずみはメラニン色素が沈着することで生じますが、大腸メラノーシスはメラニン色素ではなく、大腸粘膜内にリポフスチンという色素顆粒を含んだマクロファージが出現することで生じます。

大腸カメラを受けた際に、大腸メラノーシスがある場合は、刺激性下剤の長期連用の影響が腸に現れている証拠です。色素沈着自体は自覚症状も無く、原因になっている下剤や健康食品などを中止することで半年~1年程度で消失し、大腸粘膜はもとのピンク色に近づきます。
しかし、大腸メラノーシスになるぐらい刺激性下剤を内服すると、大腸は筋層間神経叢にダメージを受けます。ダメージを受けていることに気付かず、刺激性下剤を飲み続けると、筋層の神経細胞が減少し、腸の弾力が失われ、伸びたゴムホースの様な状態になり、腸管機能が低下します。
この状態になると、便を肛門まで運べなくなるため、ますます便秘が悪化し、「薬が効かなくなった」と感じてさらに下剤の内服量がドンドン増えるといった悪循環に陥ります。この状態を放置すると下剤乱用症候群や結腸無力症に陥る可能性もあり非常に危険です。
最終的には、全く排便が出来ないような状態に陥ることもあり得ます。
実際、欧米ではセンナや大黄は慢性便秘には適応外とされており、米国のFDA(食品医薬品局)ではアロエは有毒植物に指定されています。

刺激性下剤は即効性があるため、ついつい頼りたくなる薬ですが、習慣的な服用は絶対にやめましょう。普段は生活習慣の改善で排便を目指し、どうしても排便が無く、お腹の症状があるときに週1回程度のみ服用する場合は、上述したリスクは低く問題はありません。生活習慣のサポートとして服用するのがコツです。

最近徐々に便秘気味になってきたというような場合や市販の下剤や健康食品で最初は便秘が良くなったけど、最近急に便秘が悪化したという方は、下剤の影響が腸に出始めているかもしれません。また、便秘の原因として大腸癌が隠れていることもあります。大腸カメラを一度も受けたことが無い、または受けたけど数年検査していないという方は、まずは大腸そのものに問題が無いかを調べるため大腸カメラを受けることをお勧めします。お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。