福岡天神内視鏡クリニックブログ

胃もたれ、胃痛、食欲低下、吐き気に効く漢方薬

おはようございます。
今回は、機能性ディスペプシアとその治療で使われる漢方薬「六君子湯(りっくんしとう)」についてお話しします。

 

胃カメラをしても胃潰瘍や胃がんなどの臓器の異常が無いにもかかわらず「胃がもたれる」「胃が痛い」「胃がむかつく」「胃が張って食事が食べられない」などの上腹部症状を来す機能性消化管障害を機能性ディスペプシアといいます。

「ディスペプシア」は、「消化不良」を意味するギリシャ語が語源です。つまり、機能性ディスペプシアとは胃の機能的な異常により消化不良を来たし、胃もたれなどの症状が起こる疾患というイメージでしょうか。
機能性ディスペプシアは日本人の5人に1人が発症しているという報告もあり、特に若い女性に多くみられます。症状が続くと食事量が減り、痩せたり、体力が低下したり、仕事や勉強に身が入らないなど日常生活の質が低下するため、つらい疾患です。

 

六君子湯は、この機能性ディスペプシアに有効な漢方薬です。
六君子湯にはヘスペリジンという成分が含まれており、このヘスペリジンは胃の緩み(適応性弛緩)を促すことで胃からの食事の排泄を促進して、胃の運動機能を高める作用を示します。

また、六君子湯には、グレリンという食欲亢進作用や消化管運動機能調節作用などをもつ物質の分泌を促す作用もあると言われています。これらの作用が胃の動きや食欲を改善させ、機能性ディスペプシアの症状が改善すると考えられています。

 

機能性ディスペプシアの診断は、検査で食道や胃、十二指腸などの臓器に問題がある器質的疾患が存在しないことが大前提です。

機能性ディスペプシアの場合は検査異常を認めませんが、機能性ディスペプシアでみられる症状は進行胃癌や逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症でも認めます。このため、これらの症状がある場合は、まず胃カメラ検査が必要です。
検査で異常が無いことが分かっただけで症状が無くなる方も沢山おられます。

 

このような症状で悩んでいる場合は、一度お気軽にご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。