福岡天神内視鏡クリニックブログ

食道がん総論

おはようございます。
前回、食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎が原因となるバレット食道がんについてお話ししました。今回は食道がんについてざっくりお話ししたいと思います。

 

2019年のデータによると日本における食道がんの死亡数は、男性8位、女性16位とそれほど多く見られるがんではありませんが、男性では近年、患者数は徐々に増加傾向です(女性では横ばいです)。少し古いデータですが、国立がんセンターによる2009年~2011年に食道がんと診断された患者さん全体の5年生存率(診断から5年後に生存している患者さんの割合)は、男性は40.6%、女性は45.9%と報告されており、食道がんは残念ながら治療成績が良くないがんの1つです。

 

食道がんの治療成績が良くない原因は、比較的初期の状態である表在がん(癌の深さが粘膜下層までに留まるもの)であっても転移をきたしやすいこと、外科手術の難易度が高いこと、抗がん剤の種類が少ないなど治療の選択肢が少ないことなどが挙げられます。また、食道がんは表在がんの場合は、半数以上が無症状であり、がんの発見が遅れることも関係しています。
しかし、早期がんの中でもがんの深さが粘膜固有層までにとどまった極めて早期のStage0の状態で見つかった場合は、食道を温存する内視鏡切除(腫瘍の部分だけを胃カメラでくり抜く手術)のみでほぼ100%の治癒率が目指せます。早期発見のためには検診などでの定期的な胃内視鏡検査(胃カメラ検査)が重要です。

 

食道がんは、飲酒、喫煙ががんの発生に強く関与していることが分かっています。飲酒、喫煙をする方は、自覚症状がなくても定期的に胃内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けましょう。
また、「食事中に食べ物がのどや胸につかえる感じがする」「のどや胸に違和感がある」「のどや胸がしみる感じがする」「声のかすれがある」といった症状がある場合は、食道がんが原因の症状である可能性があります。逆流性食道炎による症状だろうと自己判断せずに症状がある場合は、必ず消化器内科を受診し、原因を調べてもらいましょう。

 

食道がんは治療成績が良くないがんの1つですが、早期発見早期治療が出来た場合の治療成績は良好です。
食道がんで命を取られることがないように自覚症状にかかわらず定期的に胃内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けましょう。
是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。